“土石流”発生で民家や道路に岩や流木が押し寄せる 127世帯に「緊急安全確保」発令 滋賀・米原市

1日午前、滋賀県米原市で大雨の影響で土石流が発生し、「緊急安全確保」が発令されました。(取材・報告= 藤枝望音 記者)

「緊急安全確保」が発令されている地域の外からお伝えします。いま私は避難所の中にいるのですが、特別に許可を得て来ています。この小学校から北に約500メートルほど行ったところに土石流の現場があります。今は雨はそれほど強くありませんが、約20分前は、激しく雨が降っていて、床に打ち付けている様子が見受けられました。

避難所の中に入りますと、約40人の方が避難されています。そして、プライバシーを確保するためのテントなども設営されています。

警察などによりますと、午前10時過ぎ、米原市伊吹で、斜面の土砂が崩れて「土石流」が発生し、岩や流木が民家などに流れ込みました。

ケガ人や逃げ遅れなどはいませんでしたが、土石流を受け、米原市は127世帯313人に対し、警戒レベルが最も高い「緊急安全確保」を発令しました。

そして、避難所の方に話を伺うと「こんなことは初めてだ」と口々に話していました。特に自宅に土砂が流れ込んできた女性は「泥水が激しい勢いで家に入ってきて、着の身着のままに避難してきた」と話していました。

避難してきた人

「なんか、いつもにないゴーという音がしたのよ。雨だったらね、そんな音はしないんですけど、道の上をね、こんな長い2メートルくらいの棒が何本か降りて行きましたけど、私、伊吹地区に来て80年近くなりますけど、初めて」

避難してきた人

「音がものすごくしてきたので、飛行機でも通っているのかなと思っていたら違って、逃げる前に(土砂が)流れて行ったから、これはひどいことになっているなと思った」

米原市は「発生時は大雨警報が出ていなかったので予見できなかった」などと話しています。明日以降も雨は降り続く見込みで、引き続き警戒が必要です。

(黒木千晶キャスター)

滋賀県米原市で午前9時から10時の間に34ミリの激しい雨が降りました。そのすぐ後の午前10時10分過ぎに、住民から土砂が流れているという通報がありました。その10分後に大雨警報が発表されて、午前11時にが「緊急安全確保」が発令されました。その時の24時間雨量は、40.5ミリとなっています。

この「緊急安全確保」は、自治体が発令するもので、何らかの災害がすでに発生している可能性が極めて高い状況で、命の危険が迫っているため直ちに身の安全を確保する必要がある、という情報になります。

「緊急安全確保」が出されるぐらい危険な状況だったんですけれども、今回、米原市は「土砂崩れが発生したときは大雨警報が出ていなかったので、予見できなかった。崩れるならもっと他に崩れる場所があり、思いもよらないことが起きている」と話しています。

確かに時系列を見ても分かるように、大雨警報や緊急安全確保の前に、すでに土砂が流れているという通報があるのが、時系列を見ても分かります。

こういう状況を見ても、自治体の発表ですとか、気象庁の発表よりも早く災害が起きてしまうような気象状況になってきているということでしょうか。

(蓬莱大介キャスター)

今年の梅雨の特徴なんですけれども、まずこの24時間雨量で40.5ミリですけれども、これ1時間で34ミリなので、ほぼまとまって降っているわけですね。

大体1年間で全国で1000か所ぐらい土砂崩れが発生します。統計をとりますと、24時間雨量で200ミリを超えてくると、土砂災害の発生件数が増えているので、「24時間雨量が200ミリ以上」というのが目安ではあるんですが、先ほども40.5ミリなんです。

ただ、今年の梅雨の特徴なんですが、梅雨入りが2週間ぐらい遅れました。梅雨入ってからの雨の降り方が、断続的に激しい雨が降り続く。降れば雨が激しい。そういう状況で、実は地盤がボディーブローのように緩んでいるんですよね。

一気に、例えば400ミリ降るとか200ミリ降るというよりかは、途切れ途切れで40ミリや30ミリの激しい雨がドーン、ドーン、ドーンと降り続いているような状況で、地盤がかなり緩んでいるという状況です。

(黒木キャスター)

米原市以外でも土砂崩れの危険というのはあるんでしょうか。

(蓬莱キャスター)

当然そうですね。いつも同じ場所で崩れるとは限りませんし、これまでに降った20日間の降水量を見ていただきますと、(天気図の)青いところが平年よりも多いところなんです。黄色やオレンジが平年よりも少ないところなんです。

梅雨入りのタイミングが遅れましたけれども、梅雨入りが遅れたらもう雨量が少ないかというとそうではなくて、今年、米原では、この20日間の降水量を見ると平年の1.6倍で、大阪も平年の大体2倍ぐらい雨が降っているような状況です。今年の梅雨というのは、降れば大雨注意という状況です。各地で地盤が緩んでいて、土壌雨量指数ですが、黄色や赤が多いですね。なので各地とも、地盤、土の中にたくさんの水分が含まれていて、米原方面見ていただくと、オレンジでやや多いぐらいなんです。その他にも、例えば和歌山県、赤い表示、もっと雨量が土の中で多く含まれているようなところもありますので、各地、油断はできないような状況です。

週末に奈良でも土砂が崩れることがありましたね。そうですね。奈良でも土砂崩れが発生して、特に線路の近くで発生しましたので、電車などにも影響が出ましたし、人的被害はなかったということではあるんですが、こちらもおそらく普段崩れたところのないような場所で崩れたという状況ですね。

(黒木キャスター)

警戒が必要になってきますが、土砂崩れについて傾向があるということです。山から斜面のひび割れ、木が斜めになっている斜面から水が出る、山から異音な音や匂いがする、先ほど住民の方のインタビューの中でも、ゴーという音がしたという話がありましたね。

(蓬莱キャスター)

そうですね。山の上の方でも土が崩れてきていて、木がバキバキバキバキ音を立てているような前兆現象でしたね。

(黒木キャスター)

山とか崖の近くにお住まいの方は、特にこれからの時期、注意が必要になってきます。

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