液状化被害甚大…能登半島地震から半年を迎えた氷見市 公費解体始まるも復旧工事がいつ行われるか見通せず

半年前、元日の午後、激しい揺れが富山を襲いました。
能登半島地震。
観測史上最大の震度5強の揺れで、富山県内は、住宅や道路の損壊、断水、地盤の液状化など甚大な被害に見舞われました。

2万825件。
7月1日現在、県内で全壊や半壊、一部損壊の被害にあった住宅の件数です。
6カ月が経ち、氷見市や高岡市の被災地では壊れた住宅の公費解体が始まっています。

一方で、液状化被害の大きかった被災地は、いまだ、いつ復旧工事が行われるか見通せないまま、時間が過ぎています。

県内で最も被害の大きかった氷見市から中継でお伝えします。

【中継概要】
今回の地震で、大きな被害が出た氷見市の中心部、北大町です。
私が立っているのは、地震が発生した元日に倒壊した家屋の前です。

県道沿いでは、住宅と商店が倒壊、歩道にせり出し、安全面から緊急性が高いと判断され、6月25日から公費での解体作業が始まりました。

家財を運び出す作業を終え、1日は朝から作業員が重機を入れた本格的な解体作業に向け、足場を設置していました。

最大震度7を観測した石川県に隣接する氷見市は、県内で最も被害が大きく、住宅や道路、上下水道などインフラが損壊し、復旧、復興に時間を要しています。

発生から半年、氷見のいまを取材しました。

【VTRで取材まとめ】
氷見市の中心部で、最初に公費解体が始まった北大町。
地震発生から半年、ようやく復興に向け動き出しました。

一方、氷見市の多くは未だ手つかずの状態です。

北大町の隣、栄町新道地区。
町内およそ80世帯のうち、40世帯ほどは市営住宅や賃貸住宅などに避難しています。
自治会の前副会長、沖崎明さんです。

*栄町新道地区 沖崎明さん
「(近所に)残っているのは3軒だけ。市営住宅に行ったり、賃貸住宅を借りたりして地区にいない」

沖崎さんの自宅も全壊の判定を受け、公費解体を待つ状態です。
今は、氷見市内の公営住宅で避難を送っています。

*栄町新道地区 沖崎明さん
「(解体の)時期さえ分かれば、それなりに対応できると思うが、全くその時期が分からない状態でいつになったら解体してもらえるのか」

氷見市のふれあいの森に設けられた災害ごみの仮置き場では、公費解体が本格化するのを前に、家財道具を持ち込む住民の姿が見られました。

一方、市内の山あいの園地区では、地震でおよそ30メートルにわたって斜面が崩れました。

6月23日に降った大雨では近くに住む数世帯が一時、公民館に自主避難しました。

*崖が迫る地域に住む女性
「雨と泥がダラダラと落ちて来た。それで6軒避難した」

1日は、雨による2次災害を防ぐため不安定な土砂を取り除く工事が行われていました。

*崖が迫る地域に住む女性
「これだけ工事してもらっているから、安心している」

復旧・復興に向けた取り組みが少しずつ進む一方で、住民の苦悩と不安は続きます。

【再び氷見市からの中継概要】
氷見市北大町です。

氷見市によりますと、公費解体の対象となる半壊以上の住宅などは1000件を超え、申請受理件数は6月25日までに350件となっています。
氷見市の復旧・復興ロードマップでは、7月から公費解体を本格化させ、来年度中に855棟の解体を完了させる予定です。

液状化対策は、今年10月ごろをめどに対策工法を決定する予定で、工事は住民の同意を得たうえで行われますが、完了時期は見えていません。

そして、氷見市中心部の2カ所に建設する計画の災害公営住宅は来年度中に着工し、再来年秋ごろの完成を目指します。

少しずつ前に進んでいますが、完全な復興までにはまだまだ時間を要し、住民の苦悩と不安は続きます。

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