崖崩れや液状化…能登半島地震の被災地が迎えた梅雨入り 大雨で「トイレ逆流する」世帯も 下水管復旧せず

富山県内に甚大な被害をもたらした豪雨災害から1年が経ちます。
今年も梅雨に入り、大雨が心配される県内。
とりわけ、能登半島地震の被災地には不安が広がっています。

*氷見市園地区の住民
「きのう(23日の日曜日)山にひびはなかった。雨でひびが入った」

氷見市中心部から車で10分程の園地区。
能登半島地震でおよそ30メートルにわたって斜面が崩れました。
地区は23日、県内が梅雨入りしてすぐに大雨に見舞われ、近くに住む数世帯が一時、公民館に自主避難しました。

県高岡土木センターは崖崩れが発生した斜面の不安定な土砂を7月中をめどに取り除く工事を計画していますが、地区には不安が広がっています。

地震により、県が確認している土砂災害は13件。
(氷見7 富山・高岡各2 南砺・滑川各1)
全国では、過去、大地震後に通常の基準より少ない雨で土砂災害が発生したケースもあり、県内では土砂災害警戒情報の発表基準が今も引き下げられ、警戒が強まっています。

一方、今も液状化の爪痕が残る高岡市伏木地区。
雨で影響が出ていました。

*住民は
「ここがもう(水で)あふれてね。犬用の吸水シートで吸ったけど重たくて大変。トイレが結構逆流する」

地区の中心部、伏木錦町にあるこの住宅では、5月強い雨でトイレの水があふれ、今回の雨でも一時使えなくなったといいます。

*住民は
「下水道管が奥深くなってない(勾配がない)から怖い。トイレは大事なところなんで…」

原因は、地下に埋設されている下水道の配管にありました。

*高岡市 高林隆下水道工務課長
「地震の影響で配管どうしに「たるみ」が生じて流れにくい状態となっている。大量の汚水が流れるときに(配管の途中で)停滞する」

高岡市水道局によると、伏木錦町周辺は古いコンクリート管が使われ、液状化によって接続部が割れたり、ひびが入るなど配管が「たるんだ」状態になっています。

また、一部で雨水を流す配管と共有しているため、大雨が降るとさらに流れにくくなるといいます。

市が設置した小型ポンプで普段の生活は問題ないものの、大雨になると不便が生じ、地震発生後に用意された仮設トイレはそのまま置かれています。

*伏木錦町に住む 二口勇平さん
「私の家も満杯になるマンホールにつながっている。そこが(大雨で)詰まるとトイレも台所も使えない。雨がふるたびにこの半年間ずっとこの状態」

配管そのものの交換には3年ほどかかるため、市は、今週に入り応急的な工事を行うことにしました。

*リポート
「今見えている交差点が伏木錦町。まだ被害のあとが残るが、本来の下水管はこちらに向かう…これを海の方向に変える工事を行っています」

さらに、側溝には 液状化で吹き出したとみられる砂が詰まったままの箇所もあり、解体後の宅地には水がたまった跡もみられます。

*リポート
「ありました。雨水を小矢部川に流すためのポンプ。1分間に8トンの水を流せるということです」

市は、内水氾濫を防ぐためのポンプを設置しました。
しかし、能力には限りがあり、予断を許さない状況が続きます。

*伏木錦町に住む 二口勇平さん
「高齢者が多く工事が長引くと心配(という声がある)。(避難先から)帰ってきて家を建てたいが、復旧工事が長引けば帰ってこないという人もいる。1日もはやく工事が進めば」

梅雨時の豪雨、地震の被災地は2次災害への不安が広がっています。
まもなく地震発生から半年、被災地では大雨への警戒が強まっています。
市は、被災した住宅で不安のある人には、土のうの貸出などにも応じるということです。
液状化や地盤の傾きで苦悩が続く被災地では、不安な日々が続きます。

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