成田空港巡り「千葉県が発展の恩恵を自ら潰した」とひろゆき氏 熊谷知事は「不当に侮辱するのは止めて」と"無知"指摘し反論 Xでの2人の議論が話題に

千葉県の熊谷俊人知事

 成田空港を巡って千葉県の熊谷俊人知事と実業家の西村博之(ひろゆき)氏がX(旧ツイッター)上で繰り広げた議論が話題になっている。千葉県が成田空港の「発展の恩恵を自ら潰し」たと主張するひろゆき氏に対し、熊谷知事は空港を巡る経緯を説明し、「不当に千葉県を侮辱することは止めて頂きたい」と苦言を呈した。

 熊谷知事は6月29日、東京都知事選候補の蓮舫氏の事務所アカウントによる「蓮舫は、国に羽田空港新ルートの見直しを求めていきます」との投稿に反応。これまで羽田空港の着陸便が対岸の千葉県上空を通り、県民が騒音に悩まされてきたことなどを挙げ、「空港がもたらす恩恵と騒音についてバランスをどう考えるのか、行政を司る立場の難しさを受け止めて頂きたい」と訴えた。

 この投稿にひろゆき氏は「成田空港を発展させておけばよかったのに、離着陸制限をして滑走路を増やさず、駅の出口に謎のパスポートチェックを作るとか、不便にし続けた」と指摘。「結果として、アジアの国際空港ハブの地位を韓国やシンガポールに取られた。千葉県が成田空港発展の恩恵を自ら潰しておいて何を言ってるのだろう、、? 」とつづった。

 これに対し熊谷知事は「成田空港開港の経緯を考えれば、その不満をぶつける相手は千葉県民ではないことくらいはご理解できませんか?」と反論。「千葉県は関係者が長年対話の努力を続け、ようやく近年、空港との共生路線を確立し、第3滑走路の新設含め、ようやく充実した普通の空港に向けて着実に歩を進めています」と説明した上で、「これまでの経緯、関係者の不断の努力、成田空港の大規模拡張計画を十分に知らない人が不当に千葉県を侮辱することは止めて頂きたいです」とはねつけた。

 その後もひろゆき氏は「成田空港反対派を支持したり許容してたのは千葉県の人達ですよね?」「60年前に起きた三里塚闘争を成田空港が発展出来なかった理由で上げてる人が居ますが、やぐらが撤去されたのはたった1年前の2023年です」などと持論を展開。一方で熊谷知事は「開港以降も成田空港会社が順次、買収や明渡請求等を重ね、櫓等の撤去も進められてきたことをご存知なく絡んできたのですね」とひろゆき氏の「無知」を指摘しつつ、「これ以上、地元や関係者の努力を無視する誤った風説を流布しないで下さい」とくぎを刺した。

 一連の議論を終えた熊谷知事は1日、「成田空港関連について、ひろゆき氏にツイートをしていますが、彼と対話したり、説得することは目的ではありません。成田空港については彼以外にも誤った現状認識をしている方が多いので、多くの方に関心・理解頂くための機会と捉えています。その点では感謝しています」とし、第3滑走路新設や新ターミナル建設などの成田空港の今後の機能強化について改めて説明した。

空港反対派を取り囲む機動隊員=2023年2月、成田市天神峰

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