織田信長の武将、金森長近が魅せたまちづくりの才能 福井県大野市の特別展で焦点

金森長近が大野を統治した頃の様子が分かる史料(右下)や、大野城天守の復元模型などが並ぶ特別展=6月29日、福井県の大野市歴史博物館

 福井県大野市ゆかりの戦国武将、金森長近(1524~1608年)の生誕500年を記念した特別展「金森長近公のあゆみ」が市歴史博物館で開かれている。長近が治めた頃の大野郡の様子を示す文書をはじめ、その来歴、大野のまちづくりなど事跡を照らし出す資料18点が並ぶ。12月1日まで。

 市制施行70周年記念も兼ねて企画。「来歴」「大野統治」「高山・美濃」「死去」の四つのテーマで、文書史料を中心に集めた。

 長近は美濃の生まれ。越前の一向一揆攻めを成功させ、1580年に織田信長の武将として大野城を築き、現在の大野市街地の基となる城下町を整備した。その後飛騨高山に移り、1605年ごろ高山城築城。美濃市にも小倉山城を築くなど、全国各地でまちづくりの才能を発揮した。

 展示の目玉は、長近に仕えた斎藤内蔵助(くらのすけ)の証言を基に1616年に書かれた「横山山城守家士武功書」。これまで、長近が治めていた大野郡の様子が分かる史料は見つかっていなかったが、同書には一揆衆らによる放火や立てこもりが起こっていたことなどが記されている。石川県立図書館が所蔵していた。大野市歴史博物館の田中孝志学芸員(49)は「大野城下を整備した後も、内部で小競り合いがあり統治は不安定だったようだ」と話した。

 このほか、特別展開催に当たって同市の恵光寺での所蔵が明らかになった長近の位牌(いはい)や、大野郡へ侵攻した際に協力的だった寺院の安全を保証する安堵(あんど)状なども展示している。絵図を基に江戸初期の大野城天守を50分の1で復元した模型も目を引く。

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 期間中は無休。午前9時~午後4時開館で、日曜と祝日は午後5時まで。観覧料は300円、中学生以下無料。

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