福島県内、路線価0.9%上昇 3年連続、都市部の住宅需要寄与

 国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2024年分の路線価を公表した。福島県内の標準宅地4300地点の対前年変動率の平均値は0.9%(前年比0.5ポイント増)で3年連続の上昇となった。福島、郡山両市を中心とした都市部の住宅地需要や、新型コロナウイルスの5類移行に伴う商業地への来訪者数の回復、駅周辺の再開発事業が要因とみられる。

 全国約31万5千地点の標準宅地を巡る対前年変動率の平均値は2.3%(前年比0.8ポイント増)。都道府県別の平均変動率は、本県が19位で前年の20位から順位を一つ上げた。

 県内10税務署別の最高路線価は、郡山、いわき、須賀川で上昇した。福島、白河、喜多方、相馬、二本松、田島は横ばい。会津若松は下落した。最高路線価が最も高かったのは郡山の32万円で、福島市が20万円と続いた。

 都市部では、超低金利の継続や、新型コロナウイルス禍による賃貸共同住宅から一戸建て住宅への意識変化が住宅地需要を下支えしている。一方、会津の山間部や阿武隈山系などでは、交通の不便さや人口減少などから下落が続き、都市部と郡部の格差が拡大している。

 商業地は、新型コロナウイルスの5類移行に伴う来訪者数の回復や、都市部の再開発事業、周辺住宅地の地価上昇などで、前年より上昇を拡大させた。

 工業地は、交通利便性に優れた中通りや、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想が進む浜通りで横ばいから緩やかな上昇で推移している。

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