被爆体験者が首相と面会へ 長崎で8月9日、5分間の発言も予定

 長崎市と被爆者4団体は1日、長崎原爆の日(8月9日)の平和祈念式典後、4団体が国への要望を伝える岸田文雄首相との面会の場に、国の指定地域外で原爆に遭い、被爆者と認められていない「被爆体験者」3団体が初めて参加し、代表者が5分程度、発言することを決めた。3団体は早期の被爆者認定などを訴える。
 体験者の救済を巡り、国民民主党の西岡秀子衆院議員(長崎1区)が2月の衆院予算委員会の分科会で、首相との直接面会を武見敬三厚生労働相に要望。武見厚労相が「(面会を)検討する」と答弁し、厚労省と市との調整が続いていた。
 この日の協議は非公開。各団体の代表者ら15人が出席した。市や出席者によると、国への要望書は被爆者と体験者の団体名を連ねて記載。体験者の参加人数は当初、各団体1人とされていたが、体験者側は被爆者4団体と同様、随行者も出席できるよう求めた。
 終了後、第2次全国被爆体験者協議会の岩永千代子代表(88)は「収穫があるか不安だが、苦しんでいる仲間に、首相と会って直接思いを伝える姿を見せたい」と涙ながらに語った。体験者を支援する同会の平野伸人相談役(77)は「一歩前進だが、仲間が次々と亡くなり時間がない中、『一歩』と言っている段階ではない。救済につながる機会にしてほしい」と述べた。

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