大宮駅西口、浦和駅西口の地価急騰 再開発で2桁の上昇率 都心から波及効果、埼玉北部まで 路線価平均2.1%アップ

2024年埼玉県内路線価を公表

 関東信越国税局は相続税や贈与税の税額を算定する際の基準となる2024年分(1月1日現在)の埼玉県内路線価を1日公表。平均変動率は前年比プラス2.1%と3年連続で上昇した。現在の算定手法となった10年以降、過去最高の伸び率を記録した。

 県内の対象地点は15税務署管内の標準宅地1万5912地点。各税務署の最高路線価の対前年変動率は川越、浦和、大宮など計10地点で上昇。横ばいは熊谷、行田など5地点。昨年同様に下落地点はなかった。都心への利便性が高い県南部を中心に上昇。一方で少子高齢化や人口減が続く県北部などでは一部地域を除き横ばいとなった。

 みつば総合鑑定所(春日部市)の不動産鑑定士三田和巳氏は「住宅地では県南部の生活利便性が高い地域の需要が堅調で、都心からの波及効果が県北部にまで拡大。商業地では都内近郊市やさいたま市の再開発による利便性や繁華性の進展が期待される地域、川口市などのマンション適地で上昇幅が拡大した。工業地では根強い通信販売需要が下支えした」と分析した。

 県内で最も価格が高かったのは大宮税務署管内の「大宮駅西口駅前ロータリー」(さいたま市大宮区桜木町2丁目)で、1平方メートル当たり529万円。上昇率は11.4%で3年連続の上昇。1992年以降、同局管内の6県(埼玉、茨城、栃木、群馬、新潟、長野)で33年連続の最高価格を記録した。三田氏によると、大宮駅周辺の複数の高層オフィスホテルの竣工(しゅんこう)に伴う集積性の高まりや再開発事業の進展による発展期待性で上昇基調にあるという。

 2番目に高かったのは、3年連続で「浦和駅西口前ロータリー」(さいたま市浦和区高砂1丁目)の231万円。同1丁目と2丁目で進む再開発事業への期待感から10.0%上昇した。

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