二重被爆者・山口彊さんの孫 原田さん(49)が講和 「人間愛が平和に」 雲仙・八斗木小

二重被爆した祖父の体験などを語る原田さん=雲仙市立八斗木小

 広島と長崎で原爆に遭った故山口彊(つとむ)さんの孫、原田小鈴さん(49)=長崎県長崎市=が6月28日、雲仙市国見町の市立八斗木小(早稲田植也校長、66人)で祖父の体験を話し、全校児童がじっくりと耳を傾けた。
 同校が平和学習の一環で開いた。原田さんが同市内で講話するのは初めて。
 三菱重工業長崎造船所で働いていた山口さんは1945年8月6日、出張先の広島で被爆。古里の長崎で9日、再び原爆に遭った。晩年は語り部として活動し2010年、93歳で亡くなった。
 原田さんは「目の色や言語が違っても、人とのつながりや共感といった『人間愛』を育むことが平和につながる」という山口さんのメッセージを伝えた。山口さんが大事にした言葉「一人はみんなのために、みんなは一人のために」を取り上げ、「家庭や学校生活でもこの思いを大切に」と呼びかけた。
 山口さんの生涯を紹介した紙芝居を6年生の15人が朗読。「黒い雨」が降った場面を読んだ渡辺暁梨さん(11)は「小鈴さんのように、戦争をしてはいけないという思いを伝えていきたい」と感想を述べた。

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