漢方を身近に感じて 佐原・老舗薬局で薬膳かき氷販売 小川万貴子さん(26)【ひと模様】

佐原・老舗薬局で薬膳かき氷販売・小川万貴子さん(26)

 香取市佐原地区にある1886(明治19)年創業の老舗オガワ薬局を営む家に生まれ育った。漢方を身近に感じてもらおうと、薬剤師として働く傍ら薬膳の要素を取り入れたかき氷を考案し、日曜日と祝日に販売している。

 薬局以前は、江戸後期から85(明治18)年まで約100年、4代続いた漢方医で、初代は郷土の偉人、伊能忠敬の主治医だったという。「歴史がある漢方薬局と観光地『佐原の町並み』を結び付けたい思いがあった」

 ただ「『漢方』と聞くと敷居が高いと思われがち。気軽に漢方に触れてほしい思いで、私が好きなかき氷を始めた」と明かす。

 昨年5月に新型コロナウイルスの感染法上の位置付けが季節性インフルエンザと同じ5類に移行し、同地区の伝統の祭り「佐原の大祭」はにぎわいを取り戻しつつある。この勢いにのろうと、昨夏に初めて薬膳かき氷の提供を始めた。

 薬膳かき氷は漢方薬局ならではの目線で健康とおいしさにこだわった。喉を潤す効果がある「杏仁」の味付き氷をベースに、体にこもった熱を取り除く「仙草ゼリー」やビタミンが豊富な「クコの実」を入れ、熱中症対策につながるものを選んだ。

 冷たいかき氷と一緒にウエハース感覚で楽しめるハトムギを別皿で出す。「子どもが食べやすい甘い杏仁と、苦くはないが薬草の漢方らしさを感じられる仙草ゼリーがマッチする」と太鼓判を押す。

 かき氷を手にした客からは「薬膳と聞くと苦いイメージがあったが甘くて食べやすい」などと好評だ。「漢方と観光との架け橋になれている」と手応えを実感する。

 かき氷の提供は9月29日まで。700円(税込み)。見据えるのは漢方の魅力を広め、より地域に根ざした薬局。「暑い夏にぴったりのかき氷を食べながら気軽に相談してもらえるとうれしい」

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