YouTube、悪質なAIコンテンツの削除申請が可能に 他者の容姿や声を模倣する動画に対応

YouTubeのヘルプページが更新され、個人情報保護の項目の中にAI生成コンテンツに関する内容が盛り込まれた。

今回追加されたのは「AI生成コンテンツやその他の合成コンテンツがあなたの容姿や声に似ている場合の報告」というもの。

投稿されたコンテンツがAIによって生成されたものであり、プライバシーを侵害している場合、本人によるコンテンツ削除の申請ができる。

削除のリクエストはYouTubeのヘルプセンターから

今回追加された内容は、AI生成コンテンツによってプライバシーが侵害された場合、削除の申し立てをできるというものと、その際の削除の基準だ。

コンテンツが削除されるべきかという判断には、「パロディ、風刺、その他の公共の利益となる価値が含まれているかどうか」「公人または著名な人物のデリケートな行為が表現されているかどうか(犯罪行為、暴力、商品の宣伝、選挙候補者の応援など)」などが考慮される。

また「コンテンツが改変または合成されたものであることが視聴者に開示されているかどうか」も基準となる。

YouTubeでは3月から、アップロードする動画に生成AIを使用し、かつ一定の条件を満たす場合、その旨を開示することを義務化している。

削除のリクエストはYouTubeのヘルプセンターに設置された「プライバシー侵害の申し立て手続き」フォーム(外部リンク)から行える。

なお、公式のコミュニティフォーラム(外部リンク)には、6月21日付けでGoogleの社員から、プライバシー侵害の通知はコミュニティガイドラインの違反警告とは別物である旨がアナウンスされている。

人気声優やアーティストの声を模倣するAIの問題

AI技術を活用して声優や歌手などの音声モデルを無断で生成・公開するサービスが物議を醸すなど、AIによる著名人の容姿や声の模倣については議論が続いている。

2023年8月頃には、人気配信者の声を学習させたAIによる「歌ってみた」動画が流行し、賛否両論を集めたことも記憶に新しい。

同様に、人気声優やアーティストの声を学習させたAIによる「歌ってみた」動画などがネット上には溢れている状況だ。

著作権法では声が保護されず、他に声そのものの権利を守ることに適した法律もないため、対応が目下の急務となっている。

AI 生成コンテンツやその他の合成コンテンツがあなたの容姿や声に似ている場合の報告: 他のユーザーが AI を使用して改変または作成したコンテンツがあなたの容姿や声に似ている場合は、削除をリクエストできます。削除の対象となるには、あなたの外見をリアルに改変または合成したものがコンテンツで描写されている必要があります。申し立ての審査には、次のようなさまざまな要素が考慮されます。

コンテンツが改変または合成されたものであるかどうか
コンテンツが改変または合成されたものであることが視聴者に開示されているかどうか
人物を一意に特定できるかどうか
コンテンツがリアルかどうか
コンテンツにパロディ、風刺、その他の公共の利益となる価値が含まれているかどうか
コンテンツで、公人または著名な人物のデリケートな行為が表現されているかどうか(犯罪行為、暴力、商品の宣伝、選挙候補者の応援など)
改変または合成されたコンテンツの報告を開始するには、プライバシー侵害の申し立て手続きに従ってください。改変コンテンツと合成コンテンツのラベルの詳細をご覧ください。

コンテンツを削除する基準
YouTube のプライバシー侵害の申し立て手続きについて詳しくは、プライバシー ガイドラインをご覧ください。ガイドラインには、申し立ての審査時に考慮される要素も詳しく記載されています。

コンテンツが削除の対象として考慮されるためには、そのコンテンツで当該の個人が特定可能である必要があり、当事者または法定代理人が申し立てを提出する必要があります。プライバシー侵害の申し立て手続きを使用する際には、ご自身を特定できる情報がコンテンツに含まれていることをご確認ください。YouTube は、以下の要素に基づいて個人の特定が可能かどうかを判断します。

画像や音声
氏名
財務情報
連絡先情報
その他の個人情報
プライバシー侵害の申し立てが報告された場合、YouTube は、公益性、ニュースバリュー、コンセンサスだけでなく、動画に人の死または致命傷の瞬間が映っているか否かも、最終決定を下す際の要素として考慮します。

その場合、故人のプライバシーと思い出を尊重するため、死亡の事実を確認したうえで、故人の肉親の方または法定代理人からの要請も考慮に入れます。YouTubeのヘルプページ「個人情報の保護」から

© 株式会社カイユウ