【速報】費用が4倍に…迷いクジラ「淀ちゃん」処理めぐる住民訴訟始まる 大阪市は争う姿勢 大阪地裁

2023年、大阪湾に迷い込んで死んだマッコウクジラ「淀ちゃん」の処理費用が当初の約4倍に膨らんだ問題をめぐり、市民団体が大阪市長を相手取り関わった職員や業者に8000万円あまりの損害賠償を求めるよう訴えている裁判が、2日、大阪地裁で始まりました。

2日午後3時半から始まった第一回口頭弁論で、市民団体側は意見陳述を行い、「市民の税金を使うのに入札も見積りもせず、『どうしたら安くいい方法はないのか』と判断できなかったのか。マニュアルや職員の決まり事はないのか、と思えるほど衝撃を受けた。この裁判で二度と市民の信頼を裏切るようなことのないように、悪いことは悪いと言ってほしい」と訴えました。

これに対し、大阪市側は答弁書で争う姿勢を示し、具体的な主張については「追って行う」としました。

■業者側と会食 調査報告書で「違法とまではいえないが不適正」

2023年1月、大阪湾に迷い込み「淀ちゃん」という愛称で親しまれたマッコウクジラは、発見から4日後に淀川の河口付近で死んだことが確認され、その後、大阪市と契約した海運業者が死骸を紀伊水道沖まで運び、海に沈められました。

大阪市は当初、処理費用を2068万円と見積もっていましたが、実際には4倍近い8019万円にまで膨らみました。

大阪の市民団体は5月、「契約した業者以外の選択肢を検討した様子が全くないことなどから、契約自体が違法であり無効なものだ」と主張。大阪市の横山市長に対し、担当部署の局長と課長、直接の担当ではない課長の計3人と業者に、市が支出した8019万円を損害賠償として請求するよう、大阪地裁に提訴しました。

市民団体側は、「直接の担当ではない課長が局長らに『先に金額の引き上げに同意した上で、あとからその根拠を検討すればいい』などとメールで進言していて、職員らは違法性を認識しながら契約をした」などと訴えています。

この問題をめぐっては、市の入札等監視委員会が6月に調査報告書をまとめ、契約がまとまる前に市側と業者側が会食していたことや予定価格の決定に関する公文書が残っていない点などを指摘。いずれの対応も「違法とまではいえないが不適正」とした上で、「コスト意識を持って手続きを進めることが重要」と結論付けていました。

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