国際的に重要な湿地「藺牟田池」の環境守り次世代へ…薩摩川内市が保全計画を初策定 ラムサール条約登録20年に向け、保全と利用の両立や持続的活動の仕組み構築

ラムサール条約の登録から来年で20年を迎える藺牟田池=薩摩川内市祁答院

 鹿児島県薩摩川内市祁答院の藺牟田池は、来年でラムサール条約の登録から20年を迎える。市は池の環境を守り続けていくため、独自の「環境保全基本計画」を初めて策定した。今後は計画に基づき、官民と地域が連携し、ワークショップなどで具体的な施策を進める。

 藺牟田池は2005年に同条約に登録。国の天然記念物「泥炭形成植物群落」があり、国内希少動植物種「ベッコウトンボ」が生息する。

 計画は地元住民らの意見も取り入れて策定した。現状の課題として、高齢化や資金不足による管理の難しさや、外来生物の影響を報告。農業用水を確保するために貯水位が高いことが、生態系にとって厳しい状況と指摘した。

 今後は自然が持つ多様な機能をまちづくりなどに生かす「グリーンインフラ」という手法を採用。湿地の保全とともに、ワイズユース(賢明な利用)を推進する。クラウドファンディングなどで自然体験できる環境を整え、収益の一部を保全活動に充てる仕組みなどを構築する。

 計画の期間は25年度から10年程度。市環境課の橋口堅総括主任は「策定を機に、持続的に藺牟田池の自然環境保全に取り組み、次世代に素晴らしさを伝えていきたい」と話した。

藺牟田池で飛び交う姿が見られるベッコウトンボ=薩摩川内市

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