「チーム日光」南三陸で集会所修繕に汗 東日本大震災後に建設 完成から12年後「絆」を再確認

集会所の修繕作業に取り組むチーム日光のメンバーたち(小坂さん提供)

 【日光】2011年の東日本大震災後、宮城県南三陸町の歌津地区に集会所を建設したボランティア団体「チーム日光」のメンバーらがこのほど、現地を訪れ、建物の修繕作業を行った。地域住民と旧交も温め、震災を機に生まれた絆を再確認した。チーム代表の小坂憲正(こさかのりまさ)さん(56)は「他から来た人も使える交流の場になってくれれば」と期待している。

 チームのメンバーは震災後、同地区などでがれき撤去などを実施。その後も度々訪れる中で、地元自主防災組織の会長を務めていた千葉正海(ちばまさみ)さんと知り合った。「被災者が集まれる場がほしい」と聞き、冬暖かく夏は涼しい構造の竪穴住居型を提案したという。

 今回、材木など修繕道具や材料を携え現地を訪れたメンバーは総勢約20人。12年前の落成式の日に合わせた訪問となった。

 「歌津迎賓館 鍵」と名付けられた集会所だったが管理の関係上、完成後はあまり使われていなかったという。それでも「本体の腐りもなく、良い保存状態だった」(小坂さん)。

 集会所の立つ複合型スポーツ施設の敷地には、震災後、仮設住宅が立ち並んでいたが現在は撤去されている。建設当時とは風景が一変した中で、参加者たちは、雨漏りがひどかった草屋根や、外壁の下部を覆うように盛ってあった土の部分の修繕などに汗を流した。

 作業終了後は駆けつけた千葉さんら当時の関係者らと交流。漁師でもある千葉さんから漁場の変化を聞いていた小坂さんは、「海の再生を目指す活動のヒントになれば」と、親交のある造園技師で環境再生医の矢野智徳(やのとものり)さんの活動を追ったドキュメンタリー映画を見てもらうなどした。

 小坂さんは「地元の人たちにもっと気軽に活用してもらい、今後そこに仲間として加われればいいですね」と話していた。

© 株式会社下野新聞社