倒産件数767件 「人手不足」関連倒産が今年最多の37件
2018年（平成30年）5月度の全国企業倒産（負債額1,000万円以上）は件数が767件、負債総額は1,043億9,900万円だった。
倒産件数は、前年同月比4.3％減（35件減）。2カ月連続で前年同月を下回り、5月としては過去20年で3番目に少ない件数だった。ただし、地区別では9地区のうち、前年同月比増加が4地区（東北・中部・北陸・中国）、減少が4地区（北海道・関東・近畿・四国）、前年同月同数が1地区（九州）になり、地域によって「まだら模様」をみせた。
負債総額は、前年同月比2.3％減（25億1,800万円減）で5カ月連続で前年同月を下回った。負債10億円以上の大型倒産が11件（前年同月比31.2％減）だったのに対し、負債5千万円未満が全体の約6割（構成比57.8％）を占めるなど、引き続き小規模な企業倒産を中心に推移した。また、従業員数別では5人未満の構成比が76.9％（590件）を占め、2017年6月（75.7％）以来、11カ月ぶりに75％を超える高率を示した。
なお、形態別では法的倒産が703件（前年同月比4.6％減、前年同月737件）で、2カ月連続で前年同月を下回った。
- 「人手不足」関連倒産が今年最多37件、このうち「求人難」型が2件発生
- 原因別件数：「販売不振」が4カ月ぶりに前年同月を上回る
- 従業員数別：5人未満の構成比が76.9％、11カ月ぶりの75％超え
- 負債額別：負債5千万円未満が全体の約6割（構成比57.8％）を占め、小規模倒産が目立つ
- 形態別：民事再生法が5カ月連続で前年同月を上回る
- 業種別：病院・医院（1→6件）、旅行業（1→5件）、広告関連業（12→17件）などで倒産増加
- 中小企業倒産（中小企業基本法に基づく）件数が、5カ月連続ですべて（構成比100％）を占めた
産業別 卸売業・小売業・情報通信業が今年最多
2018年5月の産業別倒産件数は、10産業のうち、6産業で前年同月を下回った。こうしたなか卸売業、小売業、情報通信業の3産業が今年最多件数だった。
前年同月比では、卸売業119件（前年同月比15.5％増）と運輸業21件（同10.5％増）がともに4カ月ぶりの増加に転じた。
また、小売業は116件（同5.4％増）で3カ月ぶりに前年同月を上回り、金融・保険業5件（前年同月3件）が2カ月ぶりに増加した。
この一方で、建設業は127件（前年同月比11.8％減）と不動産業24件（同14.2％減）およびサービス業他215件（同4.8％減）が、そろって2カ月連続で前年同月を下回った。
さらに、情報通信業37件（同15.9％減）と農・林・漁・鉱業7件（同36.3％減）が3カ月ぶりに前年同月を下回り、製造業は96件（同15.7％減）で2カ月ぶりに減少した。
地区別 東北が4カ月連続で前年同月を上回る
このうち、東北は今年最多の39件（前年同月比25.8％増）で4カ月連続で前年同月を上回り、中国33件（同43.4％増）が3カ月連続で増加した。また、北陸16件（同6.6％増）が4カ月ぶり、中部104件（同15.5％増）が2カ月ぶりに増加に転じた。
産業別では、東北が建築機材などの卸売業（2→8件）や建設業（4→7件）で件数を押し上げた。中国は建設業（2→7件）、中部が卸売業（7→18件）などで増加が目立った。
一方、関東は281件（前年同月比14.0％減）で8カ月連続の減少。北海道27件（同6.8％減）が4カ月連続で前年同月を下回った。さらに、四国が11件（同45.0％減）で6カ月ぶりに、近畿は今年最多の201件（同5.1％減）ながら、5カ月ぶりに減少した。このほか九州が前年同月同数の55件だった。
※地区の範囲は以下に定義している。
- 東北（青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島）
- 関東（茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨）
- 中部（長野、岐阜、静岡、愛知、三重）
- 北陸（富山、石川、福井）
- 近畿（滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山）
- 中国（広島、岡山、山口、鳥取、島根）
- 四国（香川、徳島、愛媛、高知）
- 九州（福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄）
当月の主な倒産
[負債額上位5社]
（株）ビバック／東京都／建設機械販売／185億9,000万円／破産 （株）ＲＣハウジング／愛知県／分譲住宅販売／50億円／民事再生法 （医）社団大森会／熊本県／一般病院経営／28億2,500万円／民事再生法 （株）花園万頭／東京都／和菓子製造販売／20億円／破産 （株）毛利興産／東京都／スーパー経営／18億7,600万円／特別清算
