「丸の内朝大学」の野球講座が閉幕 受講者からの提言に見る未来へのカギ

丸の内朝大学が開講【写真:(C)PLM】

メットライフドームの観客動員を増やすアイデアを披露

 平日朝7時台から開講している市民大学「丸の内朝大学」では、西武ライオンズとパシフィックリーグマーケティングが企画協力し、「野球の魅力再発見」クラスが開講している。4月から開講しているこの講座では全8回、大手町での朝の講義のほかにフィールドワークなども実施されてきた。その締めくくりとなるクラスが、2週続けて実施された。

 5月30日、第7回の講師として登壇したのは、元プロ野球選手の小宮山悟氏。引退後、プロ野球界のみならずJリーグ理事などをはじめ、広くスポーツ界において活躍する小宮山氏の講義では、自身の生い立ちから現在の野球界への課題など、話題は広く及んだ。

 また6月6日の最終回では、受講生がこれまでの授業を受けて「社会人がプロ野球をもっと楽しめるようになるには?」「どうしたら球場に(メットライフドーム)に人は来てくれるか?」をテーマに、5~6人のチームごとのプレゼンを実施。この各チームのプレゼンでキーワードとして上がったのが、メットライフドームの都心からのアクセスだ。

 池袋からの直通電車を増やすことや、都心や埼玉県東部からの急行バスを走らせることでアクセスをより良くしてほしいという声のほか、西武グループの力を生かし、西武百貨店の屋上のビアガーデンなどで、パブリックビューイングを実施することで、平日の仕事終わりでなかなか球場まで足を運べない日でも野球とのタッチポイントを作れるようにしてはどうか、などの提案がされた。

 他にも、試合時間が読めず、長くなることもある競技であるということを逆手に取り、ネイルサロンや美容室など、日常の中でやりたかったけどできていなかったことができるとうれしい、といった提案や、新しいファンを増やすためのチケット割引プランなどが多く聞かれた。

球団関係者が感じた「時間の価値、使い方」へのアプローチ

 受講生のプレゼンを講評した、埼玉西武ライオンズの井上純一事業部長は「みなさんの野球に対する思いをひしひしと感じた。野球の球団だが、野球だけでは今のお客様には満足いただけない。今後の参考にしていきたい」と話したほか、パシフィックリーグマーケティング株式会社の根岸友喜代表取締役社長は「貴重な時間の価値、使い方を問う提案が複数なされた中、受講生のみなさんは合計15時間ほどの時間を、この3か月、このクラスのために使っていただいたことになる。貴重な時間を野球というコンテンツに向き合う時間にしてくださったことに、心より感謝したい」と話した。

 またこの講座の仕掛け人である、西武ライオンズの中條綾美さんは、「最終回で、受講生の方から提言いただいたプロ野球をさらに盛り上げるのに必要なことは、我々が以前から課題として解決すべきではないかと感じていたことと重なる部分も多く、受講生の方からの提言によってそれが確信に変わる部分も多かったです。今後は受講生の方からいただいたヒントをアレンジし、プロ野球界を盛り上げるべく実行していきたいです」と意気込んだ。

 開講前、全8回のこの講座では、互いの企画について議論し野球の今後につなげていくことをゴールとしていた。出勤前の朝という貴重な時間を費やし、野球に対して向き合った受講生らはこのゴールにたどり着いたと言えるだろう。このような球場以外の時間において、野球というコンテンツと接点を持てる場面は重要であることは間違いない。今回のような取り組みを重ねることが、野球界の新たな発展につながることを期待したい。

(Full-Count編集部)

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