島原・夏の風物詩 切り子灯籠製作ピーク

 15日の精霊流しを前に、長崎県島原市内では、精霊船に飾り付ける地域特有の「切り子灯籠」の製作がピークを迎えている。
 島原の切り子灯籠は、白と青が基調色。和紙を貼った多面体の木枠に造花などの装飾品を取り付け、面の4カ所に家紋を貼り付ける。同市を中心に周辺に根付いており、初盆を迎えた家庭で15日まで飾り、精霊流しに備える。
 市内に3社あるという製作会社の一つ、マルイチ葬祭(同市坂上町)では、ことしも約7千個を作る予定。弁天町1丁目の作業場では社員、アルバイトを含め約40人が、木枠の組み立てや飾り付けなど一連の作業に追われている。
 同社の森本久浩社長によると、灯籠づくりは江戸時代の島原の乱後、仏教を奨励するために始まったとされ、約380年の歴史があるという。
 森本社長は「切り子灯籠は、島原の伝統文化であり、夏の風物詩。絶やさぬよう(製作を)続けていきたい」と話している。

切り子灯籠の飾り付けに汗を流すアルバイト=島原市、マルイチ葬祭の作業場

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