佐賀県知事に協力要請 与党検討委、整備方式巡り 新幹線長崎ルート

 九州新幹線長崎ルートの新鳥栖-武雄温泉間の整備方式の検討を全線フル規格かミニ新幹線に絞った与党検討委員会の山本幸三委員長は6日、佐賀県庁で山口祥義知事と面談した。山本氏は「整備費用をはじめ佐賀県の負担軽減のため最大限努力する。佐賀県の協力なくして推進することは不可能だ」と述べ、検討への協力を要請した。佐賀県が同意していたフリーゲージトレイン(FGT、軌間可変電車)の導入を正式に断念したことも伝えた。

 面談は冒頭を除き非公開。山口知事は負担軽減策の提示を待ち、議論に応じる構えはみせたが、終了後、報道陣に「二つから選ばなければならない立場ではない。追加負担する考えはない」と従来姿勢を変えず具体的な進展はなかった。また、「いつまでに結論を出さなければという問題ではない」とも述べ、早期決着にも消極的な姿勢をにじませた。

 整備方式を巡っては、全線フルを求める長崎県側に対し、佐賀県側は新たな財政負担増に難色を示している。検討委は当初、7月中に一定の結論を出す予定だったが、全線フルかミニ新幹線の二つに検討を絞るとの中間報告を取りまとめた上で、結論を先送りした。

 山本氏はFGTについて「期待に応じられず、国としての責任がある。大変申し訳なかった」と山口知事に伝えたという。報道陣に対しては、北陸新幹線の金沢-敦賀が2022年度開業後、新大阪への延伸工事が進む可能性に触れ、「向こうが進められるときに、こっちは進められないとならないようにしたい」と強調。「(佐賀県が)追加負担がゼロということはありえない」と述べた。全線フルを求めるJR九州を7月下旬に訪ね、JR側から負担軽減策の検討に絡み「必要であれば協力できることはしたい」との見解を得たことも示した。

 山本氏は同日、非公開で複数の佐賀県議とも面談。出席した一人は取材に「負担を減らせば良いという問題ではない。全線フルになる場合、並行在来線の問題も出てくる。簡単に結論は出せない」と話した。

 山本氏は11日、長崎県庁を訪れ、中村法道知事とも面談する予定。

山口知事(右奥)と面談する山本委員長(左奥)=佐賀県庁

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