ミストシャワー倍増 扇風機20台新設 祈念式典 救急搬送ゼロ 長崎市、熱中症対策を強化

 9日の長崎の最高気温は34・1度と昨年を4・1度上回った。連日の猛暑を受け、長崎市は平和祈念式典で熱中症対策を強化した。冷たい霧が吹き出すミストシャワーを2カ所から4カ所に増やし、ミスト扇風機20台を新設。熱中症による救急搬送はなかった。
 午前10時前、式典の中継映像が見られる茂里町の長崎ブリックホールには既に高齢者が集まっていた。被爆者の松尾文子さん(82)=勝山町=は「心臓に持病を抱えており暑いところは不安」と屋内会場を選んだ理由を話した。
 平和公園(松山町)の式典会場では、市が新たに準備した冷却剤や塩分補給用のあめ各5千個などをボランティアの高校生らが配布した。帽子に冷却剤を入れた小田隆さん(84)=南が丘町=は「かなり涼しい。爽快だ」。市職員は式典中、参列者の顔色や汗の量を見て回った。具合の悪そうな児童生徒数人が職員に支えられて救護所に向かった。救護所の利用者は昨年より6人少ない5人。うち熱中症は3人でいずれも軽症だった。
 昨年は3人が救急搬送されていた。市原爆被爆対策部調査課は「新たな熱中症対策と、式典会場で風が吹いていた影響ではないか」としている。

暑さ対策で冷却剤が参列者に配られた=平和公園

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