【高校野球】藤原と根尾は「どっちを獲っても活躍間違いなし」 山崎武司氏が見た2人の非凡さ

侍ジャパンU-18代表にも選出されている大阪桐蔭・根尾昂と藤原恭大(左から)【写真:荒川祐史】

大阪桐蔭の2人はやはり“別格”「他の選手は少し落ちるかなと」

 今夏の第100回全国高等学校野球選手権記念大会は、大阪桐蔭(北大阪)が史上初2度目の春夏連覇を達成し、幕を閉じた。9月3日から宮崎で開催される「第12回 BFA U18アジア選手権」に出場する侍ジャパンU-18代表には、最多の5人が選出。主将の中川卓也内野手は、日本代表でもキャプテンを務める。

 そして、侍でも打線の中心として期待されるのが、藤原恭大外野手、根尾昂内野手だ。今秋のドラフトでも上位指名が予想される2人について、中日、楽天などでプレーした野球解説者の山崎武司氏は「高校生のレベルは遥かに超えている」と絶賛。「バットの使い方」を高く評価し、プロの目線で2人の将来性について語った。

 今夏の甲子園について「間違いなく高校野球のレベルは上がっている。いいピッチャーもたくさんいたけど、バッターが目立った大会だったね。面白い選手はいっぱいいた」と明かした山崎氏。「(大会を通じて)じっくり見たわけではない」というが、やはり大阪桐蔭の4番、5番には非凡なものを感じたという。

「根尾君と藤原君を見ると、他の選手は少し落ちるかなと。よくバットを振れている。それだけのトレーニングをしていると思うし。今は高校時代からプロと変わらないくらいの練習をやっている。だから、振れる力はあるだろうね。ただ、あの2人はバットの使い方が、力任せに振っていない。ちゃんとしたバットのしなりとか、そういうものもくっつけて振っているから、よく見えちゃうよね。根尾君のバックスクリーンへのホームランなんかも、めちゃめちゃ強振してないもんね」

 ともにスピードも兼ね備える選手だが、甲子園では3本塁打をマーク。ただ、山崎氏は「振る力」については、藤原の方があると見ている。一方で、「器用さ」では根尾に軍配が上がるという。

中日・楽天などで活躍した野球解説者・山崎武司氏【写真:岩本健吾】

NPB球団は「どっちを獲っても将来活躍してくれる選手に間違いない」

「藤原君は力強さというか、振る力があるよね。筋力的な力は藤原君のほうがあるだろうね。器用さは根尾君の方がいいかなと思うところもある。4番は藤原君で、根尾君は3番タイプかなというふうに見えた。どっちがいいか、というのは甲乙つけがたいぐらいのポテンシャルを持ったバッター。ただ、プロに行ったら、将来的には藤原君の方がホームランを打つ打者になるだろうね。

 根尾君はショートやピッチャー、何でもできるという強みが、もちろんある。それも含めて器用さは根尾君の方がいいかなと。ただ、プロになると『器用貧乏』という言葉もある。大谷君(エンゼルス)の例もあるけど、1つに決めてやっていくほうが根尾君はいいと思う。大谷君みたいに、投手と打者の2つが(5点満点で)5点、5点じゃなくて、根尾君はピッチャー4点、バッター5点くらいの感じに見える。ただ、これを方向づけしてあげるのも、彼が入った球団の役目じゃないかなと思う」

 ドラフトには、他の選手との兼ね合い、各球団のチーム事情も影響してくる。ただ、素材だけで見れば、「両方ドラフト1位で消えていく」選手だと山崎氏は評価する。

「素材として見れば、どっちを獲っても将来活躍してくれる選手に間違いない。あとは、各球団が外野を強化したいのか、ショートが欲しいのか、というところだけ。彼らを球団がどう必要としているかで、わかれるだけだと思う。少なくとも、高校生のレベルは遥かに超えた2人だということは間違いない。大阪桐蔭については、他の選手も大学、社会人に行って伸びしろのありそうな選手がいっぱいいた」

 史上最強とも評された今年の大阪桐蔭ナインから、将来的に何人のプロ野球選手が誕生するのか。まずは、アジア選手権で藤原と根尾が日の丸を背負ってどんなプレーを見せてくれるのか。甲子園は終わったが、楽しみはまだまだ続く。(Full-Count編集部)

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