「事件 身近に感じて」 カネミ油症振り返る写真展

 1968年10月に発覚し本県など西日本一帯で健康被害を広げたカネミ油症事件を振り返る写真展が2日、長崎市茂里町の長崎ブリックホール2階ギャラリーで始まった。被害者の症状や救済を求めた歴史などを紹介する写真パネル71点を展示している。15日まで。
 今も被害者の救済制度は十分ではなく、被害者を親に持つ「油症2世」への健康影響は不明な点もある。こうした中、事件発覚から今年で50年となるのに合わせ、「油症事件とPCB汚染を考える2018」長崎展実行委が初めて企画。メンバーの長崎大環境科学部、友澤悠季准教授(37)は「被害者の症状だけではなく、日常の暮らしの写真もある。事件を身近に感じてほしい」と話している。
 会場では、76年に油症関連の写真集を出版した写真家、河野裕昭さん(67)=横浜市=の未発表作品を含む53枚を中心に展示している。油症原因のダイオキシン類で汚染された食用米ぬか油の一升瓶をはじめ、油症に特徴的な皮膚の吹き出物、歯の根元が黒い子ども、特に被害者が多かった五島市の漁師や子どもの日常風景などを捉えている。
 事件関連の新聞記事や、79年に台湾で起きた同種の「台湾油症事件」関連の写真なども展示している。

カネミ油症の症状などを紹介する写真展=長崎市、長崎ブリックホール

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