意外と知らない?マフラーの役割と出口の本数の関係性
自動車の後方に備わっている筒状のものが「マフラー」であることはほとんどの人がご存知だとは思いますが、じゃあマフラーってどんな役割をして、アフターパーツメーカーのマフラーは純正品と何が違うの?と聞かれると困ってしまう人も多いのでは?
そこで今回は、マフラーの役割などについてもう一度おさらいしていきましょう!
そもそもマフラーの役割とは?
マフラー(muffler)は、音などを覆って弱めるという意味を持つ「muffle」に、動作主名詞を形成する接尾辞"-er"を加えたアメリカ英語であり、イギリス英語ではサイレンサー(silencer)と呼ばれることからも分かるように、音を小さくするためのものです。
では、なんの音を小さくするのかというと、それはエンジンから排出される燃焼ガスの音。エンジンから排出された排気ガスは非常に高圧力で高温なため、大気に触れると急激に膨張し空気を震わせて大きな音を発生させてしまいます。そこで、段階的に膨張・干渉などを繰り返して圧力と温度を低下させることで、音を小さくしているのがマフラーというわけです。
また、エンジンから出る排気ガスの流れをコントロールすることで、エンジンの出力特性を調整する役割も持っており、同じエンジンを搭載する車種であってもマフラーの取り回しで出力が異なる場合もあるのです。
電気自動車にはマフラーがない!?
ということで、ここまで読んだ方ならお分かりかと思いますが、そもそもエンジンが搭載されていない電気自動車にはマフラーが存在しません。床下にマフラーパイプが存在しないことで底面をフラットにすることができ、空力特性をより向上させることができるという副産物的なメリットもあるというわけですね。
一方、日産のe-POWERやBMW i3 レンジエクステンダーのように、発電用のエンジンを搭載している車両に関しては当然ながらマフラーは存在しています。
1本出しが一般的だが、スポーツモデルは2本・3本・4本出しも存在
一般的にはマフラーの出口は1本のものがほとんどですが、スポーツタイプの車両などは出口が左右に備わる2本のものや、現行ホンダ シビックタイプRのように3本のものも存在しています(古くは三菱 ミニカダンガンも3本出しでしたね)。
これは排気の効率などを考えて作られたものもあれば、見ためを重視して作られたものまでさまざま。
例えばレクサス RC FやGS FのようにV型エンジンを搭載したハイパフォーマンスカーは、左右のバンクからそれぞれ排気されたガスをスムーズに流すために、左右に分けたまま後ろまでマフラーが伸びています。
前述のシビックタイプRの3本出しに関しては、左右のパイプは通常のマフラーのように排気していますが、中央のパイプはレゾネーターを経由しており、低回転域ではジェントルな、高回転域ではアグレッシブなサウンドを奏でるようにチューニングされているんだとか。
アルファード・ヴェルファイアは6本出しマフラー"風"の加飾も存在!?
排気効率やサウンドを考えれば、むやみやたらに出口の本数を増やすことが必ずしもプラスになるわけではありませんが、ドレスアップ効果としてはマフラーの出口が多い方が迫力は増すというのも事実。アフターパーツメーカーからのリリースがない場合はワンオフで6本出しのマフラーを作ってもらうという猛者もいるようです。
30系アルファード/ヴェルファイアの前期型にはTRDから6本出しマフラー“風”の加飾が付いたリアバンパースポイラーがリリースされていたことからも、そういった需要の高さが垣間見えますね。
マフラー交換でドレスアップやエンジン特性の変更を実現
ということで、マフラーを交換するのは見ための変化というドレスアップ効果はもちろん、レーシーなサウンドを楽しみたいとか、サーキット走行を楽しむユーザーはもっと高回転域での伸びが欲しいとか、エンジンの特性を変えたいという理由などさまざま。
280馬力規制があったころはあえて排気効率の悪いマフラーを純正装着してパワーを抑えていた…なんて話もあるくらいです。
ただし、当然のように排気音にも車検に適合するための基準値が存在しますから、くれぐれもうるさすぎるマフラーを装着するようなことは控えてくださいね!
[TEXT:小鮒康一]