潜伏キリシタン世界遺産 黒島で17年ぶり結婚式 島民温かく祝福 神奈川の夫婦 司祭館補修が縁で

 世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一つ、「黒島の集落」にある黒島天主堂(長崎県佐世保市黒島町)で28日、結婚式が開かれ、島民が新郎新婦を温かく祝福した。市などによると、島内での挙式は17年ぶり。
 神奈川県のデザイン会社経営、竹原敏郎さん(47)=長崎市出身=と、寿磨子さん(35)=沖縄県出身=。敏郎さんはこの夏、黒島天主堂裏にある司祭館の屋根の補修を手掛け、朝夕の光が天主堂と重なる美しい景色を見て感激。寿磨子さんとは6年前に入籍したが、結婚式は挙げておらず、「ここで挙げたい」と思った。
 2人は、黒島天主堂の大山繁主任司祭(72)の前で結婚を誓約。黒島町の山下久敏さん(62)、真由美さん(53)夫婦が証人となった。島民も参列し、聖歌を歌って祝福。敏郎さんは「式を終えてほっとしている」、寿磨子さんは「島のみなさんの協力で手作りの結婚式ができた。感謝の気持ちでいっぱい。歴史ある場所で挙式でき、うれしい」と喜びを語った。
 黒島の人口は約400人で8割がカトリックとされる。1960年代には2千人を超えていたが、人口減少が進み、結婚式も2001年12月を最後に途絶えていた。大山主任司祭は「結婚式という形で黒島とつながりができることはいいことだ。今後も島外の人を受け入れたい」と笑顔で話した。

黒島天主堂で結婚式を挙げ、島民の祝福を受ける竹原さん夫婦=佐世保市黒島町

© 株式会社長崎新聞社