【平成の長崎】徹夜巡礼 二十六聖人の足跡たどる 平成8(1996)年

 日本最初のキリシタン殉教者、二十六聖人の足跡をたどり、東彼杵ー長崎間68㌔を一昼夜かけて歩く徹夜巡礼が3日から4日にかけてあった。10回目を迎えた巡礼も来年が殉教400年の節目を迎えることなどから今年が最後。過去最多の148人が参加し、先人に祈りをささげた。
 豊臣秀吉の命でとらえられた二十六聖人は、1597年(慶長2年)の2月4日、現在の東彼東彼杵町の彼杵川河口から船で西彼時津港へ移送。翌5日、長崎の西坂に到着、処刑された。
 巡礼は昭和61年、同川沿いに「日本二十六聖人乗船跡の碑」が建立されたのをきっかけに大阪市の元教諭、本田周司さん(68)らの呼びかけで始まった。
 シスターや信者らは3日、同碑の前でミサを行い出発。聖地や教会を訪れながら夜通し歩き、4日昼前に長崎市西坂町の二十六聖人記念碑前に着いた。本田さんは「巡礼の道を歩くことで与えられた聖人のエネルギーを大切にして生きていこう」とあいさつ。聖歌などを合唱、聖人の遺徳をしのんだ。
 今回最後の巡礼となることについて、本田さんは「名残惜しいが個人やグループなどで巡礼が何らかの形で残ってくれれば」と話した。(平成8年2月5日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

二十六聖人の遺徳をしのぶ巡礼の参加者=長崎市西坂町、二十六聖人殉教地

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