筑豊金網工業、小規模落石防護柵の販売好調 年間施工量8000~1万メートル目指す

 昨年、設立70周年を迎えた九州の老舗金網メーカー、筑豊金網工業(本社・福岡市博多区冷泉町、社長・西島良助氏)が一昨年開発し、国交省NETISに登録されたことで本格販売を開始した小規模落石防護柵「キャフロンネット」が好評だ。すでに国交省をはじめ九州、中国地方自治体の法面工事で採用されており、施工実績は約4千メートルに達している。同社では「最近は自治体に加え、民間企業からの引き合いも増えている。年間8千~1万メートルの施工実績を目指したい」と話している。

 小規模落石防護柵「キャフロンネット」は簡単に設置が出来て、災害復旧など緊急を要する事業にも適している。

 特徴は、(1)掘削やコンクリート基礎などが不要なため、トータルコストは従来の落石防護柵の4分の3。工期は半分(2)軽量なアンカー固定方式を用いているため岩盤、土砂、コンクリート擁壁などへの設置が可能(3)構成部材は軽量で、法尻部~斜面中腹、落石発生源まであらゆる場所への設置が容易―など。

 標準の支柱間隔は5メートル、支柱高(棚高)は2メートルから4メートルまである。これまでの工法で50メートル防護柵を設置する場合は約1カ月を要するが、キャフロンネットの場合は2週間程度で可能になる。

 なお同社は、昨年12月に改訂された「落石対策便覧」(日本道路協会)に沿って、新たに追加された実証実験を実施している。性能は折り紙付きだ。

 創業は明治2年。大正3年に福岡市住吉東領2丁目(現博多駅前4丁目)に東領工場を建設し、鉄線蛇篭(じゃかご)の製造を開始したのがはじまり。現在は福岡県須恵町に「新原工場」、朝倉市に「甘木工場」を構える一方、熊本、鹿児島、宮崎、佐世保に営業拠点を保有している。

 ひし形金網、かごの製造がメインだが、営業品目は法面・河川、各種金網、エクステリア製品の販売施工と幅広い。従業員約80人で、前3月期の売上高は34億円。

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