東大阪市モノづくり開発研究会など主催、オープン講座を開催 「自動車支える金属材料」テーマに

 東大阪市モノづくり開発研究会および東大阪市立産業技術支援センターは1日、東大阪市立産業技術支援センター(東大阪市高井田中)でオープン講座を開催、約60人が参加した。

正橋直哉東北大学金属材料研究所教授兼同研究所附属産学官広域連携センター長

 講師は正橋直哉東北大学金属材料研究所教授兼同研究所附属産学官広域連携センター長。テーマは「自動車を支える金属材料を基礎から学ぶ」。

 正橋教授は自動車用金属材料を中心に成型加工技術も併せて、現状と将来を基礎から応用まで分かりやすく解説した。

 「東北の仙台にある金属材料研究所は、ここ大阪とは馴染みが深い。研究所の創設者、本多光太郎先生は大阪の企業と結び付きが深かった。私たちも13年前から、産学官の取り組みを大阪を中心とした関西で続けている」と話した。

 「自動車の軽量化は絶対ゴールだが、安全性を考えれば金属は必須。軽量金属としてAlやMgの比率を高め、高強度なSteel材料の開発が求められている。軽量素材とSteelの混用が不可欠で、高強度材料の成型加工性の確保、異種材料間の接合技術と成型加工技術も必要」と述べた。

 自動車材料としてのAl、Mg合金の自動車での適用事例、Tiの自動車への応用例、ハイテン、ホットスタンプ、スプリングバック、摩擦攪拌接合などについても説明した。

 「材料置換によるマルチマテリアル化」では、エンジン関連部材を中心に鉄からアルミ化が進み、今後はアルミ以外でもMg、樹脂、CFRPへの置換も適材適所で進行すると指摘。

 「軽量化とコスト」では、完成車メーカーはコンセプトカーを製造しつつ軽量化材料の開発に取り組んでいる。ハイテンやアルミニウムで最大40%、MgやCFRPで最大70%程度のボディの軽量化が可能とした。

 「価格、成形性、接合、鉄鋼との複合化による電食対策などから、日本は欧米に比べAlの採用に慎重。ただ、現時点でハイテン以外で使える軽量化素材でAlは有力候補。いずれは日本メーカーも採用の動きが出ると予想する」とした。

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