軽金属溶接協、「アルミ接合技術ロードマップ」を15年ぶり改訂

 軽金属溶接協会(会長・山内重徳UACJ相談役)はこのほど、2003年に策定した「アルミニウム接合技術ロードマップ」を15年ぶりに改訂し、今後30年の溶接・接合技術の見通しと課題をまとめた。改訂版ロードマップではアルミ溶接・接合の市場・技術動向を詳しくまとめたほか、将来の課題にも踏み込み技術開発の方向性を示した。足元の情勢に見合ったロードマップを内外に示し、「アルミ構造物市場の拡大」などにつなげる。

 新ロードマップは、多様なステークホルダーが同じ時間軸で連携するためのツールという位置付けになる。見直し作業は技術調整委員会の「ロードマップ作成ワーキンググループ」が昨年4月に取り掛かり、アルミ接合に関連する材料、生産、設備業界関係者や学界の専門家を交えた議論を経て、今年8月に完成した。

 新ロードマップでは、従来通り低コストや高い接合性が求められる一方で、自動車のマルチマテリアル化の進展に伴い、タクトの早い固相接合が要求され、AIやIoTを活用した溶接の自動化・ロボット化が進むと予想。また三次元積層造形技術、ノンガス・ノンヒュームアーク溶接といった新技術の確立や、リモートレーザ溶接、溶加材を加えた摩擦攪拌接合(FSW)、フラックスフリーろう付などの技術が発展すると予見した。また材料のアルミのリサイクル性を阻害しない分離技術の確立や、リサイクル対応接合技術の確立などについても将来像が示された。

 「アーク溶接」、「レーザ溶接」、「抵抗溶接」、「ろう付」、「FSW」、「接着接合」、「三次元積層造形技術」、「その他接合」の八つの接合方法別に項目を設け、それぞれの接合方法のロードマップを定めた。また輸送機器におけるマルチマテリアル化の動きに対応。アルミと鉄やチタン、マグネシウムなど、それぞれの素材との接合で求められるニーズや課題もまとめている。

 ロードマップの改訂に合わせて、03年版ロードマップの達成状況も確認した。03年版ロードマップでは主要19項目のうち11項目で目標を達成した。また5項目が継続中、抵抗溶接の3項目は未達成だった。また、策定当時に新技術として登場したFSWの現在の状況をほぼ的確に予測していた。

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