「危険なバス停」14市町の84カ所公表 神奈川県警

 神奈川県警は28日、横断歩道に近接するなど危険性の高い県内のバス停84カ所の名称を公表した。危険度の高い順にA~Cの3段階に分類し、Aは9カ所、Bは32カ所、Cは43カ所だった。県警は道路管理者やバス事業者と連携して年内に現地診断を実施した上で、A判定のバス停を中心に設置場所の見直しを含めた総合的な安全対策を講じていく方針だ。

 危険性の調査は、横浜市西区で8月30日に発生した事故がきっかけとなった。横断歩道をまたぐ形で停車したバスの後方を小学5年の女児=当時(10)=が横断、対向車線の軽ワゴン車にひかれて亡くなった。バス停と横断歩道の距離は約5メートルしかなく、バスの後方は対向車の死角になっていたとみられる。

 「悲惨な事故を二度と繰り返してはならない」(古谷洋一本部長)として、県警は事故直後から類似した形状のバス停の調査を開始。停車時にバスの車体が横断歩道をふさいだり、踏み入れたりする87カ所をリストアップし、事故後にバス停の移設が確認されるなどした3カ所を除き、危険度を判定した。

 県警交通規制課によると、84カ所の自治体別の内訳は▽横浜市40▽相模原、秦野市各6▽横須賀、伊勢原市各5▽鎌倉、厚木市各4▽平塚市、葉山、愛川町各3▽川崎市2▽藤沢、大和市、山北町各1-だった。中には横断歩道の真横に設置されたバス停も確認された。

 判定は、バスの運行本数や児童の通行状況など15項目を点数化して実施。合計点の200点に近いほど危険度が高いことを示す。84カ所の平均点(97・4点)以上で横断歩道を全部バスがふさいだり、路線バスに起因する人身事故が3年以内に発生したりしたバス停をA判定に分類した。

 150点で最も危険度が高いとされたのは、横浜市神奈川区の「長導寺前」。2015年12月に中学1年の男子生徒(13)が、停車中のバスを追い越そうとしたトラックにはねられて軽傷を負った同市青葉区の「さつきが丘」などもA判定とされた。

 県警はホームページに判定結果を掲載して注意喚起に努めるほか、現地診断を進めて道路管理者やバス事業者と総合的な改良策を検討する。バス停の移設など抜本的な対策が早期に難しい場合でも、立て看板やバス車内でのアナウンスなどで、子どもや高齢者にも分かりやすく危険性を啓発していく。同課は「関係機関と連携してできる限り速やかに対策を講じていきたい」としている。

県警が公表したバス停の危険度判定で対策の優先度が高いとされた「長導寺前」バス停=横浜市神奈川区菅田町

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