原爆症認定求め提訴 係争中の男性、がんで新たに 長崎地裁

 長崎原爆で被爆し、下咽頭(かいんとう)がんと肺がんを患ったのに原爆症認定申請を却下されたとして、長崎市の男性(77)が7日、国に却下処分取り消しを求めて長崎地裁に提訴した。この男性は、舌がんを疾病とする原爆症認定申請の却下処分取り消しを求め同地裁で係争している。
 訴状などによると、男性は3歳の時に爆心地から約4キロの稲田町の自宅で被爆。1998年1月に舌がん、2017年3月に下咽頭がん、18年2月に肺がんの診断を受け、それぞれ原爆症の認定申請をしたが、却下された。
 国の審査方針では、固形がんなどの悪性腫瘍を患った場合、爆心地から約3・5キロ以内で被爆し医療を必要とする状態(要医療性)と確認されれば、原爆症と積極認定している。
 男性は方針基準を満たしていないが、訴状では「多重がん」となっている現状を踏まえ「健康に影響を及ぼす程度の放射線に被ばくしていた」と放射線起因性が認められると訴えている。弁護団長の原章夫弁護士は「がんを繰り返し発症するのは原爆放射線の影響の典型」と話した。

© 株式会社長崎新聞社