無人島漂着?体験型修学旅行を提案 西海の「田島」

 長崎県西海市西彼町の無人島「田島」を運営する大村湾リゾート(同市)は、中学、高校生対象の修学旅行プログラムを開発している。名称は、映像を通じてその場にいるような感覚を楽しむ仮想現実(VR)技術をもじり、インターネットやゲームでは味わえないリアルな体験を意味する「VR(バリリアル)」。最高執行責任者の片山智弘さん(29)は「閉ざされた場所での体験で、仲間との助け合いや物のありがたさを見つめ直して」と話している。
 田島は西彼町亀浦郷から船で約5分の大村湾内にあり、周囲3・2キロ、面積6・4ヘクタール。1980年ごろから無人となっていたが、2013年から自然体験リゾート施設として、同社が有料で開放している。
 16日にはモニター体験があり、市内の中学生7人が参加。「修学旅行中に無人島に漂着」という設定で、釣りざおや鍋、包丁、のこぎりなど限られた道具で「魚を焼き、ご飯を炊く」という課題に挑戦した。
 生徒は役割を分担。貝をえさに魚を釣ったり、火打ち石や新聞紙で、いろりの種火をおこしたりした。スタッフからの助言は3回まで。生徒たちは鍋を使って飯を炊こうとしたが、ふたがなく、ツワブキの葉で代用するなど工夫。集めた廃材を燃やし、2時間40分かけて炊きあげた。
 市立大瀬戸中2年、濱川晃輔さん(14)は「火おこしが大変だったが、鍋で炊け達成感があった。停電や災害時に役立てたい」と話した。
 修学旅行客の受け入れは早くても再来年。同社は「県内の学校の野外活動や、企業研修での活用も提案していきたい」と話している。

火おこしに挑戦する生徒=西海市、無人島「田島」

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