女子プロ野球界の「マッチ」!? 田口紗帆が語る「声って調子に左右されない」

埼玉アストライア・田口紗帆(左)とソフトバンク・松田宣浩【写真提供:日本女子プロ野球リーグ】

誰よりも熱いハートで声を張り上げ、ホークス松田を彷彿とさせるキャラクター

 女子プロ野球界屈指のガッツ溢れるプレーが売りの埼玉アストライア・田口紗帆内野手。移籍1年目の今季は42試合出場で打率.326、1本塁打、16打点と活躍したが、チームはヴィクトリアシリーズで3位に終わり、2年連続での年間女王には届かなかった。

 だが、劣勢の中でも誰よりも熱いハートで声を張り上げ、チームを鼓舞する田口の存在感は抜群。そのキャラクターは、「マッチ」こと福岡ソフトバンクホークスの松田宣浩内野手を彷彿させる。そんな彼女に、今シーズンを振り返ってもらった。

――2018シーズンを終えた今、感じていることを教えていただけますか?

「チームとして、3位という悔しい結果で終わってしまいました。特にピッチャーが頑張っているときに打線が助けてあげられなかったことが多かったなと思います」

――ご自身で振り返ってみて、今シーズンの結果を招いた原因は何だと思いますか?

「プロとして、常に100%のプレーができていなかったからだと思っています。打撃でも守備でも、目に見えないミスに甘んじていたんだと思います。直接、得点に絡まるミスではないんですけど、そういう所が積み重なって大きなミスになってしまったのかなって思います。盛り上げて楽しくやるのが、アストライアのチームカラーなんですけど、楽しみながらもチームの空気を引き締めて、もっとメリハリを付けないといけなかったと感じています。どんなときもプロとして、その日できるベストなプレーをすることを忘れてはいけないなと思いました」

「野球がうまくなくても、どんな状況でも、声だけは出せる」

――今シーズン特に意識していたこと教えていただけますか?

「バッティングでフォームを大きく変えたことです。元々すり足だったんですけど、福留コーチや大山コーチから指導してもらって、今年から足を上げて打つ形にしました。足を上げて左足を着地させるまでに重心をブラさず、タイミングをしっかり取ることを意識して、確率と長打率を上げること、正しいフォームで打つことを目標にやってきました。フォームを変えた成果だと思うんですけど、昨年より打球が飛ぶようになりました。

 あとは、元々引っ張りのタイプでアウトコースのボールも常にレフト方向に打球が飛んでいたんですけど、コース毎にポイントを変えて打つことをオフからずっと取り組んできて、アウトコースのボールが来ても素直に右方向へ飛ぶ打球が増えてきました。自然とヒットゾーンが広がった感じでした」

――今シーズン一番印象に残っている試合を教えてもらえますか?

「ホームランを打った試合(6月13日対ディオーネ戦)です。ホームラン自体は3年ぶりだったんですけど、バッティングフォームを変えた成果が出てくれたなと思いました。この日は試合にも勝てたので、なおさら嬉しかったですね」

――試合のとき、誰よりも一番声を出されている印象を受けるのですが、何か意識されていることがあるのですか?

「野球がうまくなくても、どんな状況でも、声だけは出せると思っています。声って調子に左右されないっていうか、波が無いじゃないですか(笑)。常に誰よりも声を出す意識を持ってプレーしていますね」

――来シーズンの目標を教えてください。

「打率をアップさせたいです。4割を打てるくらいのバッティングができるようになりたいと思っています。選球眼もよくして、そして今シーズンよりもホームランを打てるようにしたいと思います。今は正しいフォームで打ち方を固めながら、スイングスピードを上げるためのトレーニングにも取り組んでいます。あと今年は、プロに入って一番多く盗塁を決められたので(16盗塁:リーグ第2位)、来年も塁に出たときはチャンスを見つけて盗塁を狙っていきたいと思います」

 一冬を越え、彼女の「声」のような安定感を更に上回る、プレーでの活躍に期待したい。なお、日本女子プロ野球リーグは25日に「日本女子プロ野球リーグコンベンション2018」を開催する予定。女子プロ野球LIVE TV(要会員登録)で配信する予定となっている。(Full-Count編集部)

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