認知症カフェ普及へ 五島市がモデル事業 専門家交え悩み共有 地域全体で支える拠点に 

 長崎県五島市が、認知症の人や家族を地域全体で支える「認知症カフェ」の普及に向けて動きだした。当事者や家族、住民らが認知症への理解を深めたり、悩みを共有したりする拠点となる。市は3月1日、市内でモデルケースとなるカフェを開催。将来的には、民間事業所や住民らによる自発的な開設を促したい考えだ。
 認知症カフェはオランダやイギリスで広まり、国内では2015年策定の国家戦略「新オレンジプラン」で、全市区町村への設置(20年度末)を掲げた。同市は本年度、高齢者福祉施設での勤務経験がある田代元輝さん(37)を地域おこし協力隊として採用。年度内のカフェ開設を目指してきた。
 カフェには主に当事者、家族、住民が集い、介護福祉士や看護師など専門家を交え、食事をしたりお茶を飲んだりしながら気軽に話し合う。認知症で家に閉じこもりがちな人が社会参加する場となるほか、同じ悩みを持つ当事者や家族同士が支え合う「ピア(仲間)サポート」の機能も持たせる。専門家は正しい知識を伝える。
 市の構想では、市内のカフェは福江、富江、岐宿、三井楽、玉之浦、奈留の各地域で月1回開催。運営主体は各地域の福祉事業所や飲食店、住民グループなどを想定し、市は認知症に詳しい専門家や相談員を派遣する。開催に向けた研修会や個別相談の実施も検討しているという。
 市主催の認知症カフェ「よらんかな」は3月1日午後1時~3時、同市三尾野1丁目の市福江総合福祉保健センターで。お茶などを飲みながらミニ講話を聞き、相談もできる。無料。予約不要。問い合わせは市長寿介護課(電0959.72.6194)。

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