<隠れた名盤> 石井竜也『LOVE DIAMONDS』 変わらないピュアなきらめき

石井竜也『LOVE DIAMONDS』

 約2年半ぶりとなるオリジナル盤。全体のテーマは“LOVE”でまろやかな歌声が一貫しており、そのピュアなきらめきは今年還暦を迎えるとは思えぬほどだ。

 全12曲の曲順がとても緻密に構成され、その上質感も見事。前半はシンフォニックな演奏に合わせて恋の始まりを歌う。70年代歌謡曲風の『港の風景』や、米米CLUBでの穏やかなラブソング風の『恋を見つけて』など、どれもゆったりと聞ける。

 後半は情熱的な楽曲から、一途な愛のラブソングへと続き、そしてラストは、宝石店のCMソング風のメロウなプロポーズ・ソング『深いためいき』でドラマティックに終わる。

 特に、7~9曲目は、感情の昂りを予感させるラテン歌謡の『危険水域』、アダルトな雰囲気が漂うミディアム調の『どうなってもかまわない』、そして猛暑並みに熱いラブソングの『射程距離』と、LIVEで盛り上がりそうな楽曲が続く。恋のときめきか、激しい情熱か、静かな愛か。アルバム中の好みの楽曲から、各人の恋愛観が占えそうだ。

 初回盤には、前年に行われた同コンセプトのLIVEを2時間半たっぷりと収録。本作を聴けば、年齢に関係なくトキメキのアンテナが敏感になるはず。

(ソニー・通常盤 3241円+税)=臼井孝

© 一般社団法人共同通信社