尊い5月の陽光を

 プログラムには種目ごとに「令和をかける少年・少女」といったタイトルがあって、楽しい。リレーにも団体競技にも子どもたちは力いっぱいで、周りから声援が飛ぶ▲長崎市内の小学校の運動会は歓声に沸いていたが、応援のときだけグラウンドに、それ以外は校舎の陰に、という人も多かった。キャンプ用の折り畳みテントをグラウンドの隅に張るご家族もいた。各地で運動会があったきのう、日差しと熱中症を気に掛けて過ごした方も少なくあるまい▲県内ではおととい、島原市や松浦市で30度以上の真夏日を記録し、きのうも列島各地で気温が上がった。北海道では39度を超えた所もある▲5月のうちに「記録的な猛暑」と聞くと、どうも先が思いやられる。予想外の暑さに見舞われた-と、これまで小欄で何度か書いてきたが、年を追うごとにそう書く時期が早まっている気がする▲3年前の7月初め、全国各地で気温35度以上の猛暑日を記録し〈予告編を飛び越え、いきなり夏の本編に入ったかのよう〉と書いた。同じことをいま書いてもおかしくはない▲現代の暦で言うと5月19日、今の時期に芭蕉は日光で詠んでいる。〈あらたふと青葉若葉の日の光〉。ああ尊い、青葉若葉に降り注ぐ明るい日の光は。5月の陽光は心地良くて「ああ尊い」ものでありますよう。(徹)

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