最高裁「開門を認めない」初判断 終局的解決は不透明

 最高裁が「開門を認めない」とした初の判断は、国の「開門せずに基金で和解を目指す」とした方針を追認し、「非開門」の流れを確定的にしたといえる。「開門」と「非開門」という二つの司法判断のねじれ状態が続く中での初めての最高裁の判断。だが、これで地域を分断する問題が終局的に解決するか否かは不透明だ。
 今回の2件とは別に、最高裁には請求異議訴訟が係属する。福岡高裁は昨年7月、「3年猶予後、5年間の開放」を命じた2010年の同高裁開門判決(国の上告断念で確定)を事実上「無効」とする判断を示した。この確定判決の効力を巡り、最高裁で7月26日に弁論が開かれる。請求異議訴訟控訴審判決が見直される可能性があるとの見方も出ているが、開門差し止め派弁護団は「請求異議事由の法解釈の問題で、今回の決定と直接的に関係ない」と指摘する。
 そもそも漁業者が開門訴訟を起こしたのは、国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の閉め切り後、漁業不振に陥ったのが発端。10年の開門確定判決では漁業不振と湾閉め切りの因果関係を認めたが、国は営農者らの反対などを理由に、開門調査を行わず、漁業不振の原因は解明されないままだ。
 開門派弁護団は「確定判決がある限り、国の開門義務は残る」と強調。農業者も含めた開門請求訴訟を新たに起こす構えで、双方が折り合うどころか、泥沼化の様相を帯びている。今回、国は最高裁の“お墨付き”を得た格好だが、深まった溝を埋める努力を課されているのはこれまでと変わりない。

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