日本ハム、相手エース則本昂を終盤に攻略できたワケ 「本来のペースじゃない」

日本ハム・栗山英樹監督【写真:石川加奈子】

6回までに98球を投げさせ7回に集中弾で逆転勝ち

■日本ハム 4-3 楽天(31日・札幌ドーム)

 日本ハムは31日、本拠地楽天戦で相手エース則本昂を攻略し4-3で逆転勝ち。首位のソフトバンクと0.5ゲーム差とした。

 7回に2点を勝ち越された直後に則本昂を捉えた。起点になったのは渡邉だった。「追い込まれたら変化球が多いので、ファウルを打って甘いボールを待っていました」とカウント1-2からファウルで2球粘った後に149キロ外角低め直球を右翼線にはじき返した。

 一塁ベース手前で「ライトの(打球への)入り方と肩を考えて行けるんじゃないかと思った」と果敢に二塁を狙う。ヘルメットが前方に飛ぶほどの勢いで頭から滑り込み、セーフになると球場内が一気に沸いた。「ヘッドスライディングはあまりしたことがなかったので、激しくやっちゃいました。何とかしたいと思った結果、二塁まで行けて良かった」と試合後は照れ笑いを浮かべたが、気迫のプレーがチームに流れを呼び込んだ。

 石井一の右中間へのタイムリー二塁打、宇佐見の左前タイムリーと3連打で同点に追いつき、相手のエースをKOした。栗山監督は「ワンチャンスをみんなで何とかしてくれた」と若い選手が見せた集中力に目を細めた。

栗山監督は試合前に「簡単にヒットにできなくても、ファウルにならできるかもしれない」

 ボディーブローが効いた。6回まで4安打に抑えられていたが、個々がファウルで粘って98球を投げさせていた。3月に右肘のクリーニング手術を受けた則本昂は7月9日に復帰後ここまで3試合で最長7回、球数は108球が最多。試合前に栗山監督は「簡単にヒットにできなくても、ファウルにならできるかもしれない。そいういう思考の方向性を間違えずにみんながやるかやらないかの足し算」と語っていた。

 同点打を放った宇佐見は「終盤の球数が多くなったところでのワンチャンスで、1本打てて良かったです」とうなずいた。則本昂から2安打を放った石井も「7回はギアが上がっていたんじゃないかな。でも、110球は大きい。本来のペースじゃない。チーム単位で(攻略)できたと思います」と胸を張った。

 ルーキーの弓削に2安打完封負けした前日のショックを完全払拭するエース撃破。7月を16勝6敗で終え、6月14日以来となる首位の座を射程圏内に捉えた。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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