元DeNA久保康友がメキシコで悟りの境地? 度重なる賃金未払いに「そこまで期待も…」

メキシカンリーグのブラボス・デ・レオンでプレーする久保康友【写真:福岡吉央】

度重なる給料支払い遅延、さらにはボーナスも2か月以上未払い

 元DeNAの久保康友投手が所属しているメキシカンリーグのブラボス・デ・レオンで7日(日本時間8日)、賃金未払い問題が再浮上した。レオンではシーズン序盤、コーチや選手、スタッフへの給与支払い遅延が続いていたが、シーズン終盤になって、今度は支払われるはずのボーナスが支払われていないことが発覚。球団幹部は5月、プレーオフ出場圏内の4位以内で前半戦を折り返した場合、チーム全員に各給料の半月分をボーナスとして支払うことをミーティングで約束していたが、チームが4位で前半戦を折り返したにも関わらず、6月12日の前半戦終了時から約2か月が経過した今も、ボーナスは支払われていない状態だ。ニンジン作戦に奮起しながらも、球団幹部に騙される形となった選手たちは「支払う気がないなら最初から言わないでほしい」などと不満を口にしており、球団に対する不信感は募る一方だ。

 メキシカンリーグでは各チームとも月に2回、給与支払い日があり、レオンでは6月30日の支払い日から何回かに分けてボーナスを支払うと選手たちに説明していたが、支払いは開始されず。その後、球団から7月15日の支払い日から分割でボーナスを支払う旨が通達されたが、3週間経っても未だに支払われていない状態だ。レオンは4月5日の開幕以降、これまで8回あった給料日のほとんどで当日の支払いができておらず、常に数日から1週間遅れで振り込まれている状況。さらに、6月16日に行われたオールスター出場給も、いまだに出場選手らに対して支払われていない。

 また、契約に家の支払いが含まれている外国人選手の一部は、直近の家賃も振り込まれておらず、選手が立て替えて支払っている状態だ。久保についても、球団が契約した物件に対し、用意すべき必要書類をいまだに渡しておらず。居住証明が受け取れないため、現地の運転免許証に切り替えができないなどの不便を被っている。家賃の支払いも、チームから毎月の期日までに支払われたことが一度もなく、毎回催促する始末。家賃未払いを理由に、エレベーターに乗るためのカードキーの使用を2度、マンション側から止められたこともある。

毎月の“恒例”ハプニングに久保「メキシコらしいですね」

 チームのオーナー会社はメキシコ第3の都市モンテレイに拠点を置き、テレビ局、ラジオ局、新聞社などを経営するメディア会社で、北地区のスルタネス・デ・モンテレイも所有しており、決して金策に窮している訳ではないが、運営側の手際の悪さが続いている状況だ。久保は代理人を通じ、球団に対して諸々の支払いについて質問したところ、球宴の出場給については支払う旨の返答があったが、ボーナスについては明確は返答は来なかったという。

 毎月のように起こる度重なるハプニングに、久保はこう話す。

「これもメキシコらしいといえばメキシコらしいですね。正直、もうそこまで期待もしていないですし、約束をしても守らない国柄なので、支払いが遅れたとしても、約束した給料を金額通りきっちり払ってくれるだけでもありがたいと思っています。ただ、生活を賭けてプレーしている若い選手たちはかわいそう。早く支払われることを願っています」

 久保は今冬以降もメキシコか中南米でのプレーを視野に入れており、「メキシコはどのチームもこんなものかと思っていましたが、他チームの選手に聞いてみたら、うちのチームがリーグで一番ひどい。でも、最初が一番ひどいチームだと、ここを経験しておけば、他のどこのチームに行ってもすぐに対応できると思う」とたくましい。

 運送会社がオーナー会社だった昨年は、リーグ終盤の給与が2か月遅れで支払われ、数名の選手には給与の一部が支払われないまま、オーナー会社交代となったレオン。今年はプレーオフ進出が厳しい状況で、8月29日のレギュラーシーズン終了とともにチームは解散となる可能性が高いが、今後の球団の対応が注目される。(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)

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