大崎58年ぶりV 夢の甲子園へ前進 九州地区高校野球県大会

第145回九州地区高校野球県大会最終日は6日、大崎が決勝で創成館に4-2で競り勝ち、1961年以来、58年ぶり2度目の優勝を飾った。閉会式後、喜びを爆発させる選手ら=長崎市、県営ビッグNスタジアム

 第145回九州地区高校野球県大会最終日は6日、長崎市の県営ビッグNスタジアムで決勝が行われ、大崎が創成館を4-2で下して、1961年秋以来、116季ぶり2度目の優勝を飾った。

 大崎は初回、先頭調の左中間二塁打と藤村の犠打で1死三塁とすると、坂口の遊ゴロの間に1点を先制。1-0の四回に三つの四球を選び、2死満塁から調が左翼線に走者一掃の二塁打を放ってリードを広げた。守っては先発坂本が与四球1、2失点で完投した。

 創成館は八回に石崎の中前2点適時打で反撃したが、後続が併殺に倒れるなど、全体的につながりを欠いた。投手陣も5人全員が安打を許して流れを変えられなかった。

 両校が出場する九州大会は19~24日に佐賀市で開催。組み合わせ抽選会は11日に実施される。

◆地域と共に成長 隙見せず 主導権

 全校生徒114人、長崎県西海市大島町の小さな県立高校が、悲願の甲子園出場に向けて、まずは第一関門を最高の形で突破した。就任2年目、大崎の清水監督は思わず目を潤ませた。「野球を頑張って、みんなに楽しんでもらう。それが少しずつできつつある」。代わる代わる祝福にやってくる保護者や地元住民、応援者に深々と頭を下げた。

 強かった。攻撃は全5試合で先制して、守備はわずか1失策、チーム防御率0.95。試合運びのうまさも目立った。この日の決勝で象徴的だったのはリードを広げた四回。背番号11の1年生右腕坂本が明らかにテンポを上げた。わずか6球で三者凡退。捕手内海が「点を取った後はすごく大事だから」と振り返ったように、隙を見せずに主導権を握り続けた。

 清峰や佐世保実を全国に導いてきた指揮官の下、県外への遠征も重ねて着実に力をつけてきた。そんなチームを市や町がハード、ソフト両面で強力にバックアップ。選手も夏祭りを手伝い、神社のみこしを担ぎ、地域と交流しながら「勝って喜んでもらう」と汗を流した。試合後の多くの笑顔や涙が、その過程を表していた。長崎県に新たな強豪校が誕生した。

 ただ、喜びもつかの間、すぐに勝負の九州大会が待っている。清水監督は「あと2週間、どうやって勝ちにいくのかを考えていく」、主将の坂口も「力負けせずに強気で向かっていく」と気を引き締め直した。みんなで見据える夢は、もっと先にある。

【決勝、大崎-創成館】創成館打線を2点に抑えて完投した大崎の坂本=県営ビッグNスタジアム

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