反核 世界平和へ遺志受け継ぐ 被爆医師の秋月さんしのび墓前祭

秋月さんの墓前祭に出席した妻すが子さん(前列右から2人目)ら=長崎市石神町

 長崎原爆で被爆した医師で、2005年10月20日に89歳で亡くなった秋月辰一郎さんをしのぶ墓前祭(実行委主催)が20日、長崎市内であり、親交のあった約30人が手を合わせた。
 秋月さんは爆心地から約1.4キロの旧浦上第一病院(現在の聖フランシスコ病院)で被爆しながらも、救護活動に尽力。戦後は、長崎平和推進協会の初代理事長を務めるなど長崎の反核平和運動を先導した。
 墓前祭は秋月さんの生誕100年に当たる2016年から毎年開催。妻のすが子さん(101)も初めて出席した昨年に続き参列した。すが子さんは献花後「(今年も参列できて、そして多くの人がきてくれて)うれしいです」と述べた。
 朗読ボランティア「被爆体験を語り継ぐ 永遠の会」の杉本雅親さんが、秋月さんの著書「死の同心円」からすが子さんとの出会いが分かる一節を朗読。目を閉じ、うなずきながら聞く出席者の姿もあった。
 聖フランシスコ病院の山崎和文病院長(61)は「秋月先生の存在、頑張りを引き継いでいくことが長崎、そして世界の平和につながると思う」と話した。
 実行委は来年以降も、墓前祭を開くとしている。

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