子どもにも協力を仰ぐ?3人分の教育費を背負うシングルマザーの悩み

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。

今回の相談者は、3人の子どもを抱える38歳のシングルマザー。2学年ずつ離れた子どもの教育費の捻出方法について頭を悩ませています。FPの横山光昭氏がお答えします。

地方に住んでいる、3人の子どもがいるシングルマザーです。長女は来年高校生。子どもは2歳ずつ離れています。子ども3人がこれから大学や専門学校へ行くことを考えると、教育費の捻出も心配ですが、今年から毎年となる卒業式、入学式にかかる費用も支払っていけるものなのかと心配になります。

貯金に励んできたつもりでしたが、子ども名義で200万円あるのみ。長女は18歳満期の学資保険に入っているので、高校卒業後の進学費用はある程度なんとかなるかと思っています。ただ、それ以下の子どもたちの分がきちんと準備できるか心配ですし、例えば大学生が2人いるような状況になったら学費は払えるのか不安ばかりです。

今は、収支ギリギリか若干赤字の家計です。残業で帰宅が遅くなった時に疲れて、つい、外食をしてしまったり、総菜や弁当を買いがちになる習慣がやめられません。どのように支出を減らすと、貯金ができるようになるでしょうか。減らせそうな支出が自分では見つけられません。今できそうな支出削減の方法がありましたら教えていただきたいです。

〈相談者プロフィール>

・女性、38歳、バツイチ

・子ども3人:長女(中3)、次女(中1)、三女(小5)

・職業:会社員

・毎月の手取り金額:23.8万円

・年間の手取りボーナス額:約70万円

・貯蓄:普通預金100万円、定期預金100万円

・学資保険:満期時100万円(長女)

【支出の内訳(24.5万円)】

・住居費:2.1万円(社宅の自己負担分)

・食費:6.2万円(うち外食費約2万円)

・水道光熱費:1.8万円

・通信費:1.5万円(スマホ4台、格安スマホに変更)

・車両費:2.6万円(うちローン1.7万円)

・日用品:0.5万円

・医療費:0.7万円

・教育費:5.1万円

・小遣い:1万円 (家族全員分)

・その他:約3万円(生命保険料含む)

※※ボーナスは赤字の補てんと洋服代など毎月購入できないものの費用にあて、年間10万円も残らない。


横山:ご相談ありがとうございます。家計再生コンサルタントの横山光昭です。

シングルで3人のお子さんを育て上げることは、金銭的に大変ですのに、よくがんばっていらっしゃると思います。今もがんばっていらっしゃるのに、今以上にどうがんばれば教育費が貯められるのか、考えてみましょう。

お金のかけどころを絞って、貯蓄可能額を増やす

おひとりで3人のお子さんの面倒を見ながら、さらに家計を見直そうというのは立派なことだと思います。

特に、スマートフォンについては、コミュニケーションアプリで家族間の連絡、職場や学校関係の連絡を取るのが主な使い方ということで、格安な通信事業者に契約変更をしたという点は、自分たちを客観的に見れていますし、行動力もあり素晴らしいと思います。

支出の仕方を見ていると、食費、教育費、自動車関連費用にお金がかかっています。収入は限られていますから、お金をかけたい部分が多くなると、やりくりも難しくなります。この膨らみがちな費目の中でも、特にどこにお金をかけたいのか、がけるべきなのかを考えて、優先順位をつけてお金を使うようにしましょう。せっかくやりくりを考えて実行しても、収入の範囲で生活ができなければ、貯蓄は増えません。

例えば、食費であれば一度に多めに料理を作って冷凍保存をするとか、ちょっとした工夫で改善できそうです。外食に頼りたい気持ちもよくわかりますが、できるだけお家で食事ができるようにしていくと食費を抑えられると思います。

また、予算を設けることも食費削減には有効です。つい膨らみがちになってしまうので、まずは週の食費を2000円削れるように調整してみましょう。1ヵ月の食費を5万円でやってみようと思うと、それを5週間で割って、週1万円の予算で1週間をやりくりしてみるのです。開始日は給料日から。

はじめはキツイかもしれないので、今の食費を5で割って、1週間の予算を作ってもよいですよ。そうするだけでも、5週目は中途半端な日数になりますから、お金が余ります。その金額が徐々に増やせると良いのです。

教育費の確保は一日にしてならず、浮いた塾代は貯蓄へ

長女さんは今、高校受験に向けてがんばっているところですよね。3月の受験が終わるまでは、教育費以外の支出を下げるようにして、受験を応援してあげてほしいと思います。

ただ、そのあとは塾代がかからなくなりますね。4月からはその塾代が浮くようになりますから、次女、三女の塾代のため、進学費用のために貯めていくこともできそうです。ただ、来年度は塾をお休みできたとしても、その翌年は次女が中学3年生。また塾に行きたいというかもしれませんよね。ですから、来年度の一年は塾代がかからないから、「貯める期間である」としっかり認識して、貯蓄増に取り組んでいきましょう。

お子さんの教育費は、一気に作るのが難しく、コツコツと長い期間をかけて作り上げるものです。そして、貯められる時と貯められない時があるのは仕方がないものです。

今、児童手当がもらえていると思いますが、それはどうしていますか? 赤字の補てんや必要なものの購入費に消えてしまっているのではないでしょうか。収入の中で毎月の生活費が収まるようになれば、その児童手当を貯めるということもできるようになります。

大学進学は子どもにも協力を仰いで、奨学金の利用は慎重に

長女の学資保険100万円が大学進学費用となりそうですが、それ以後はあまり計画できていません。長女に使ってしまえば次女の進学費用がありませんし、三女となっては進学をあきらめるような事態も起こり得ます。そういうことを避けるためにも、まずは、お子さんがアルバイトなどで働いて、学費の一部を負担してくれるように相談してみるとよいと思います。

今は大学生の2人に1人が奨学金を借りているといいますが、安易に利用すると借金化し、後々の返済が大変になる可能性もあります。まずは奨学金を利用しないで済む方法を考え、借りないと無理という判断になれば、いくら借りるか、少額から考えていくとよいと思います。

今年あたりは給付型の奨学金が充実している話を聞きますが、それは住民税が非課税になる世帯についてのことです。相談者さんにはしっかり収入があるので、利用できない可能性が高いと思います。

奨学金のサイトでは返済のシミュレーションができます。実際の返済(奨学金では正しくは「返還」といいます)は、大学などを卒業して6ヵ月経ってからとなります。おそらく就職して収入が安定してきたと思える時期ですから、収入の中からいくらなら無理をせず返していけそうか、おおよその検討をつけておくとよいと思います。金額が少なければ、働き始めてから早期に完済することもできるでしょう。

最近では、奨学金の返済を抱えた女子は結婚をしにくいという声も聞かれるので、不利な条件を早めに払拭できるようなプランを立てて利用しましょう。

今は生活費に教育費と、金銭面で大変だと思うことが多いかもしれません。ですが、無理なことではない状況であると思いますので、都度お子さんと相談し、また教育費についての情報を集めつつ、乗り越えていってほしいと思います。

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