最終年度の長崎県総合戦略 人口減少に歯止めかからず 転出超過悪化 長崎県内就職も低迷 雇用創出、移住は目標達成

長崎県総合戦略の基本目標の達成状況

 長崎県の人口減少対策「県まち・ひと・しごと創生総合戦略」(2015~2019年度)が最終年度を迎えている。雇用創出や県内移住者数は目標を達成したが、長崎県内就職率は低迷し、転出超過が悪化。合計特殊出生率も伸び悩み、人口減少に歯止めがかかっていない。

 長崎県は2015年10月に60年時点で100万人程度の人口維持を目指す「県長期人口ビジョン」をまとめ、94の目標を盛り込んだ同総合戦略を策定した。基本目標は「しごとを創り、育てる」「ひとを創り、活(い)かす」「まちを創り、支えあう」の三つで、5年間の数値目標を設定。長崎県によると、9月時点で評価可能な81目標の進捗状況は「達成・順調」が65%、「やや遅れ」は20%、「遅れ」は15%となっている。

 雇用創出は、企業誘致や長崎県内製造業支援により4年目の目標3千人(累計)に対して3570人(同)と上回る。本年度も京セラコミュニケーションシステム(京都市)など10社と立地協定を結び、最終目標4千人を達成する見通しだ。ソニー長崎工場(諫早市)の増設も決まり、好調が続く。年間660人を目指す長崎県内への移住者も4年目で1121人と達成した。

 しかし、長崎県内就職率は苦戦している。大学新卒者が4年目の目標53%に対して41%、高校新卒者は同目標64%に対して61.1%と未達成。就職を機に10代後半から20代の若者が長崎県を離れ、女性の転出が増えている。転出先は福岡県が最多で、女性は男性の1.6倍という。

 転出超過の改善目標は、2014年度まで5年間の年平均5200人の超過数を5年目に30%程度改善する内容。長崎市で大型客船建造に伴う外国人労働者が一時的に増え、1年目の目標6%程度改善は上回ったが、その後、下回り、4年目には3%悪化(801人増加)に転じた。

 長崎県内の製造業の従業員数は減っている。ただ、地域別で見ると、国境離島新法に基づく事業で661人分の雇用が創出された離島や、県央、県北は転出超過が改善しているという。

 女性1人が生涯に産む子どもの推計人数を示す合計特殊出生率は2015年度の1.66から5年目で1.8まで引き上げを目指しているが、4年目で1.68(概数)と伸び悩んでいる。

 長崎県は現総合戦略の課題を踏まえ、2020年度から6カ年の次期総合戦略を策定する。政策企画課は「一部で成果は上がっているが、最大の課題である長崎県内就職率が改善されておらず、転出超過が悪化している。次期総合戦略では目標を高くして取り組みを充実、強化したい」としている。

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