カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を表明している横浜市は4日、最初の市民説明会を、市開港記念会館(同市中区)で開いた。林文子市長が登壇、IRは「戦略的に必要」と誘致の意義を改めて説いた。事前に応募した市民ら376人が出席。参加者からは市民と直接、対話をしようとしない市長に対し、不満の声も上がった。
市長は、外国人宿泊者数の過去5年間の伸び率が1.7倍と、全国平均(2.4倍)に比べて弱い市の現状などを説明。「日本型IRは戦略的に必要だ」と重ねて強調した。
市が目指すIRの具体的な姿として、シンガポールの「リゾート・ワールド・セントーサ」と「マリーナベイ・サンズ」を列挙。横浜港・山下ふ頭(同)を立地場所に、カジノ、世界レベルのMICE(国際会議、展示会などの総称)施設、ホテル群、エンターテインメント施設などで構成する「市民が楽しめる世界水準のリゾート施設」を目指すとした。
ギャンブル依存症や治安悪化の対策には、マイナンバーカードなどによる入場制限、区域外周辺の防犯カメラ設置などを挙げた。
市長の説明時間は約50分で終了。質問は休憩時間中に提出されたものから、司会が抽出し、市長らが回答する形式を取った。
カジノなしの施設を求める意見に対し、市長は「観光客が繰り返し訪れる決定的なコンテンツがない」「カジノなしでは運営ができない」と反論。反対する市民が多いにもかかわらず、誘致を進めようとする理由を問われたが、「こういう機会にIRの説明をすれば理解が進む」などと正面からは答えなかった。
終盤、しびれを切らした参加者が「なぜ一方的な説明だけで市民と直接、話をしないのか」と、客席から声を上げる場面もあった。
終了後、市長は取材に「私の話を静かに聞いていただいたことに感謝している。一定の理解は、いただいたと思う」と感想を述べた。誘致の撤回や住民投票の実施については、考えていないと従来の見解を変えなかった。
次回は、9日に神奈川公会堂(同市神奈川区)で開催する予定。