中国人クルーズ客に長崎県産品を 県が新システム

 クルーズ船で長崎県を訪れる中国人観光客に県産品を売り込み、長崎県での観光消費額拡大につなげるため、長崎県は本年度、来日する中国人観光客にインターネットで事前に県産品を紹介し、長崎県に寄港した際に商品を渡すシステムの運用を始める。長崎県への経済波及効果を高めるとともに、多様な県産品を紹介することで、中国人観光客の満足度向上につなげる。

 新たなシステムは、クルーズを企画する中国の旅行会社から昨年末、中国人観光客のツアーの改善について相談があったのがきっかけ。長崎県は県内の企業や長崎、佐世保両市と連携し、検討を重ねてきた。

 クルーズ船の乗客は事前に乗客向けの土産品サイトを閲覧し、カステラや水産加工品、文房具などの登録商品の中から気に入った土産品を注文。クルーズ船向けの商品販売会社「HBCS」(長崎市)が県内の業者などに発注して商品を準備し、長崎や佐世保へ寄港した際、港で商品を渡す仕組みだ。来年度以降は商品だけでなく、温泉などの周遊ツアーも扱う方針という。支払いは、中国で主流の電子決済システム「アリペイ」や「ウィーチャットペイ」のキャッシュレス決済を導入する。

 長崎県などによると、県内へのクルーズ船寄港回数は2018年、337回。乗客乗員数は過去最多の125万2379人を数えた。このうち長崎港は220回で、博多、那覇に続いて全国で3番目。佐世保は108回で8番目だった。長崎県への寄港数のうち、中国発着クルーズは約8割を占める。

 一方で、中国発着クルーズの乗客は複数の免税店だけで買い物をするケースが多く、長崎県滞在時間内に県産品を売り込むには限界があるという。こうしたことも一因に、長崎県での観光消費額(宿泊費や土産品購入費など)も伸び悩んでいる。長崎県は2020年の観光消費額目標を4577億円としているが、試算では、2018年は約3778億円にとどまっている。

 長崎県国際観光振興室は「中国人観光客は購買意欲が高い。免税店巡りだけでなく、さまざまな選択肢を持ってもらうことで満足度を高め、長崎県の観光消費額増加やリピーターの獲得につなげたい」としている。

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