韓国客激減対策4.3億円 政府が補正予算 対馬などを支援

対馬市

 政府は、日韓関係の悪化で訪日する韓国人観光客が急減していることを受け、特に打撃の大きい長崎県対馬市などの観光地を支援する費用として総額4億3千万円を国の本年度補正予算案に計上した。国内客のほか、中国や台湾などからの観光客誘致を進め、誘客先の多角化を図りたい考えだ。

 対馬市によると、昨年、対馬を訪れた外国人観光客は約41万3200人。このうち韓国人は約41万300人と99%を占めていた。今年の韓国人観光客数は約26万人で、島内消費額は昨年比で33億円ほど減少する見込みとなっている。一方、昨年の国内からの観光客は3万人程度だったとみられる。
 国の補正予算案は13日に閣議決定されており、このうち2億5千万円が国境離島新法の交付金を活用した「日本人観光客の来訪促進事業」。内閣府によると、この事業は対馬を含め、8都道県にある有人国境離島が対象で、国内客の滞在型観光促進などに向けた自治体の取り組みを支援する。
 残り1億8千万円は、観光庁の「観光地における新規市場の開拓・多角化に向けた実証事業」。同庁によると、対馬など、特定地域からの観光客の割合が多い観光地が対象で、中国や台湾、東南アジアの旅行会社やメディア関係者を招請するほか、観光案内の多言語化などを進める方針。
 比田勝尚喜・対馬市長は「国の支援をいただきありがたい。これを機に、誘客先の多角化に取り組んでいきたい」と歓迎。対馬観光物産協会の江口栄会長は、国内誘客に向け対馬での宿泊費を県市が一部助成するキャンペーンが来年2月末で終わることに絡み、「3月以降の助成を国で担っていただけたら」と要望した。

© 株式会社長崎新聞社