公判前に検証の場を設置 県、やまゆり園支援実態巡り

黒岩祐治知事(資料写真)

 入所者19人が殺害された県立障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市緑区)の運営法人見直しに絡み、県は18日の県議会厚生常任委員会で、同園を運営する社会福祉法人「かながわ共同会」の支援実態を検証する場を来年1月8日に始まる元職員の裁判までに設ける方針を明らかにした。

 県によると、事件発生時から現在までの支援が入所者らに望ましい内容だったかを検証し、「利用者目線の新しい障害者福祉」(黒岩祐治知事)につなげる。検証結果のまとめ方など詳細は未定だが、第三者を含めて人選を進めている。

 一方、県は2021年度に開設する後継2施設の指定管理者を新たに公募するため、共同会に対し来年1月末までに同園の指定管理期間短縮に同意を求める方針を示している。共同会側は納得いく説明がない限り応じないとしているが、県は「あくまで協議で合意を求めていく。現時点で法的措置は考えていない」との見解を示した。

 質疑では、黒岩知事が14日の入所者らへの説明会で方針転換の理由の一つに「共同会にとってよくない情報がどんどん出てくる」と発言したことに批判が集中。委員から「根拠が不明確」「信用に足る情報なのか」といった指摘が相次ぎ、県側が趣旨に合わない答弁を繰り返したり、相談したりして審議が中断する場面がみられた。定例会閉会直後に委員会が開かれるのは「異例」という。

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