長崎経済アンケ 進出企業への「期待」と「懸念」 長崎県内主要企業・団体に実施

「進出企業との協業に期待するか」のアンケートに対する結果

 長崎新聞社と十八銀行系シンクタンク長崎経済研究所(長崎市)が長崎県内主要企業・団体に実施した新年トップアンケートでは、県内経済の話題についても尋ねた。今回から4回に分けて随時紹介する。まずはこの質問から-。県内への企業誘致が活発化する中、地元企業との協業も進むと期待しますか。

 県によると、昨年の企業立地(新増設)は15件で前年を7件上回り、計760人の雇用が計画されている。人材確保や被災リスク分散などを理由に、ITやバックオフィス(事務管理部門)の業種が目立つ。中には「得意な分野を持つ地元企業の力を借りる」として協業策を話し合っている進出企業もある。
 回答した経営者ら85人のうち「大いに期待している」(26人)と「期待している」(32人)を合わせると、7割近くが前向きに捉えた。理由として「顔が見える同志となる」(卸売業)、「進出企業は地元企業にない機能を有し、地場経済の脆弱(ぜいじゃく)な点を補完する側面があり、相乗効果が期待できる」(旅行業)などが挙がった。具体的に期待することは「若者の定着」や「新規事業創出」が多く、「新たな視点とアイデア」(放送業)や「人材や技術のレベルアップ」(建設業)といった声があった。
 一方で懸念も寄せられた。「どちらでもない」(13人)や「あまり期待していない」(12人)、「全く期待していない」(2人)と答えた層では、人手不足が深刻化するとの見方が目立った。ある運輸業は「全国規模の企業とは給与や福利厚生など待遇の面で差異があり、現状のままでの協業は自社の労働力が奪われる可能性もある」と指摘した。
 製造業の1社は「現在進出している企業は地元企業と協業しにくい業種が多い」とみる。教育業は「地元企業と進出企業のマッチングの結果や課題を広く共有化できる機会がまだ少ない」と課題を挙げた。造船業は「まだ具体的な関わりを得られていない。今後関心を持っていきたい」として積極的な情報提供を求めた。

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