アンドロス・e-トロフィー第5戦:プジョー208が初勝利。エルラシェールは2020年3勝目

 完全電動化による新時代を迎えたフランス伝統の氷上戦“e-Trophee Andros(アンドロス・e-トロフィー)”の2019/20年シーズン第5戦ラン・アン・ヴェルコールが1月24〜25日に開催され、初日はベンジャミン・リビエラ(プジョー208/シルヴィアン・プーシャー・コンペティション)が制し、新型プジョー208が初優勝。2日目はヤン・エルラシェール(アンドロス・スポーツ01/イバン・ミューラー・レーシング)が勝利し、今季3勝目を飾っている。

 冬季2カ月間の短期決戦となる伝統のアイスレース・シーズンもいよいよ大詰め。第4戦からの2週連続開催となった第5戦も、フランス南東部の自然公園内にあるスノーリゾート、ラン・アン・ヴェルコールが舞台となった。

 このアンドロス・e-トロフィーでは、最上位カテゴリーのエリート・プロクラスを含め全クラスで2回の予選ヒートを戦い、その後スーパーポール・セッションとスーパー・フィナーレを戦うフォーマットを採用。各セッションの順位に応じた総合獲得ポイントでその日の勝者が決まる仕組みとなっている。

 この日は予選からシルヴィアン・プーシャー・コンペティションのプジョー208と、セインテロック・レーシングのアウディA1が上位を独占する展開となり、8号車の新型208をドライブするリビエラは予選ヒートで最多得点を獲得。続くスーパーポール・セッションでは4番手タイムに終わったものの、それまでのアドバンテージを活かしてスーパーポール最速のオーレリアン・パニス(アウディA1/セインテロック・レーシング)を抑えて、決勝ヒート最前列スタートを確保した。

 そのままスーパー・フィナーレでも優位を保ったリビエラはオーレリアンを抑えきってトップチェッカーを受け、総合64点を稼いでこの日のウイナーとなり、プジョー208がEV新時代のシリーズ初優勝を記録。

 2位オーレリアンの背後には、そのチームメイトでWorldRX世界ラリークロス選手権で2019年ランキング2位となったアンドレアス・バッケルド(アウディA1/セインテロック・レーシング)が続き、自身のアンドロス初表彰台を獲得。プジョー208を挟んでアウディA1勢が並ぶポディウムとなった。

スーパーポール最速、決勝2位のオーレリアン・パニスは、わずか1戦で選手権首位を奪還
WorldRXで活躍するアンドレアス・バッケルド(右)も、シーズン初の表彰台に立った

 4位にはスーパーフィナーレ序盤でニコラ・プロスト(ルノーZOE/DAレーシング)を華麗なオーバーテイクで仕留めたナサニエル・ベルトン(プジョー208/シルヴィアン・プーシャー・コンペティション)が続き、DAレーシングのワークス・ルノーZOE勢を抑えて総合でもこの日の4位を確保。

 これにより、前戦で選手権首位に浮上していたシリーズ4連覇中のジャン-バティスト・デュブール(ルノーZOE/DAレーシング)は総合5位となり、わずか3点差でランキング2位に後退。オーレリアンが再びシリーズリーダーの座に返り咲いた。

 続いて25日土曜の夜に開催された2日目は、前日とはまた大きく展開が変化し、選手権を牽引してきたもうひとりの主役、ヤン・エルラシェール(アンドロス・スポーツ01/イバン・ミューラー・レーシング)が奮起。

 スーパーポールではバッケルド、ベルトンに続く3番手タイムだったものの、予選ヒートの総合得点で決勝ヒートをポールポジションから発進すると、そのまま後続を5秒突き放す勝負強さを披露してシーズン3勝目をマークしてみせた。

 一方、後続では波乱のドラマが発生し、スーパー・フィナーレのほぼ全周を通じて2位を守っていたバッケルドが、チェッカーまであと数メートルのところでマシントラブルに見舞われ、彼のアウディA1はベルトンにポジションを譲ったばかりか、最終的に5位でラインを通過することに。

 しかし、予選ヒートでの力強いパフォーマンスと、スーパーポールでの最速タイムでこの日60点を荒稼ぎし、エルラシェールに続く総合2位を守る結果となった。また、3位ベルトンに続き総合4位に入ったオーレリアンも、デュブールに対し選手権リードを拡大することに成功している。

 これでシリーズのレギュラー戦をすべて消化した2019/20年シーズンのアンドロス・e-トロフィー。続いて2月1日開催となる最終決戦の地、クレルモン・フェランでのグランドフィナーレで、フルEV時代の新チャンピオンが誕生する。

このアイスレースで10度のタイトルを誇る叔父のチームで走るヤン・エルラシェール
タイトル争いは、オーレリアン、デュブール、そして3勝のエルラシェールに絞られた

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