巨人2軍選手が1軍へ割って入るには? 實松コーチ「どう準備するかが大事」

巨人・實松一成2軍バッテリーコーチ【写真:小谷真弥】

現役時代は2番手捕手としてリーグ3連覇に貢献「自分のプレースタイルを確立させて…」

 巨人の實松一成2軍バッテリーコーチは、ファーム選手に「準備」の大切さを説いた。現役時代に阿部慎之助(現2軍監督)を支える2番手捕手としてリーグ3連覇に貢献。昨季まで現役21年間プレーした39歳の新米コーチは、「1番は準備。気持ちの持っていき方がすごく大事になってくると思う。技術を持っている選手もいる。それを1軍で発揮するにはどう準備をするのかが大事になってくる」と熱く語った。

 1軍キャンプの捕手は小林誠司、炭谷銀仁朗、大城卓三、岸田行倫。実績豊富な面々も揃い、2軍から1軍争いに加わるのは簡単なことではない。「2軍の選手でも育成選手も何かいい物があるからジャイアンツのユニホームを着ている。でも、それだけでは1軍にいけない」という實松コーチは、準備の大切さを力説した。

「体の準備はもちろん、捕手だったら投手とのコミュニケーション、作戦、データ、投手の調子を把握すること。自分がこれだけやってきたというメンタルの準備も必要。浮ついた準備では、いい結果は出ないと思う。実際に1軍では数少ないチャンスで結果を出さないといけない。1回のチャンスにどれだけ集中できるか。(コーチとしては)メンタル、準備の持っていき方を選手に伝えていきたい」

 巨人の一時代を支えた阿部が昨季限りで現役引退。實松コーチには次世代を支える正捕手の育成に期待がかかる。

「阿部さんは歴代の捕手の中でもすごい捕手。『第2の阿部慎之助』を育てると言うのは、阿部さんにすごく失礼なことだと思う。コーチとしては(そういった人材を)育てないといけないけど、簡単なことではない。阿部さんも(現役時代は)並大抵の努力ではなかったと思う。何かが足らないから2軍にいる。今持っている個々の能力、自分のプレースタイルを確立させて、自分流でいくしかないと思う」

自身の現役経験を後進指導の糧に「自分のことだけに集中してやれば、その分、プラスになる」

 實松コーチも現役時代は2軍生活が長かった。1軍出場は日本ハム時代の02年に82試合出場したのが最多。06年から巨人でプレーし09年は1軍出場なしに終わったが、12年からは2番手捕手としてリーグ3連覇に貢献した。

「他人のことを気にせずに自分のことだけに集中した。人のことを気にすると、それだけで疲れてしまう。自分のことだけに集中してやれば、その分、プラスになる。自分がうまくなるために練習して考えられれば。1軍に行くには何が足りないのか。これをやろう、あれをやろうと潰していけば、1軍選手たちを追い抜ける」

「ワンチャンスしかない選手もいるかもしれないし、そのチャンスの時に何を準備できているか。2軍選手、3軍選手はもっともっと自分を知ること。自分がどういう選手で、どういうふうになりたいか。チームがどういう選手を必要としているかを考えてほしい。分かりづらいかもしれないが、考えないと、ちゃんとした練習法も見つかってこない」

 常勝を宿命付けられる巨人は選手層も厚く、戦力補強も積極的に行われる。若手は限られたチャンスで結果を出すことが求められる。實松コーチは「言い始めたらきりがない。今はジャイアンツにいるんだから、このチームで何が出来るかを考えた方がいい。僕も若い選手の分からない部分もあると思うので、会話を大事にしていきたい」という。2軍からの底上げ、チームの戦力アップこそがリーグV2への原動力。後進を育成し、1人でも多くの選手を1軍へ送り出す。(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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