核禁条約の年内発効「可能」 ICAN川崎氏、長崎で講演

核兵器禁止条約について語った川崎氏(左)ら登壇者=長崎市平野町、長崎原爆資料館

 非政府組織(NGO)核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の川崎哲(あきら)国際運営委員(51)が23日、長崎市で講演した。核兵器禁止条約について、今年中の発効は「十分可能」とし、「国際社会の主流にしたい」と語った。
 同条約は国連加盟国の3分の2に当たる122カ国・地域が賛同し、2017年に採択された。50カ国・地域が批准して90日後に発効する。批准数は現在35で、その前段階である署名数は81。ICANは同条約採択への貢献で17年にノーベル平和賞を受賞した。
 川崎氏は、発効から1年以内に開かれる締約国会議が条約推進国のオーストリアで開かれる見通しを示し、「いかに多くの国に条約に入ってもらうか、核保有国が入った場合は具体的にどう核兵器をなくすかが話し合われるだろう」と述べた。
 被爆75年で国連創設75年でもある今年、核廃絶に向け「長崎から世界にどう訴えられるかだ」と強調。ICANのフィン事務局長が長崎の平和祈念式典に参列することも報告し「8月を盛り上げたい」と話した。
 講演は、4月に米ニューヨークの国連本部で始まる核拡散防止条約(NPT)再検討会議を前に、核兵器廃絶地球市民長崎集会実行委(朝長万左男実行委員長)が開いた核軍縮に関するシンポジウムの一環。長崎大核兵器廃絶研究センターの教授や若者ら4人も登壇し、日本の政治家への働き掛けの重要性などについて話し合った。市民ら約130人が聴講した。

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