休校児童らに食と居場所を 子育て支援団体や飲食業者

昼食を一緒に食べる子どもたちと母親=佐世保市、SDA佐世保キリスト教会

 新型コロナウイルス感染防止策として、長崎県内のほぼ全ての公立小中学校などが休校に入る中、子ども食堂を運営する団体や飲食店などが子どもたちに昼食を提供する取り組みを始めた。保護者の調理の負担軽減だけでなく、さみしい思いをしている子どもたちに寄り添う役割も果たしている。

 5日正午、佐世保市谷郷町のSDA佐世保キリスト教会。地下の一室の机の上に、肉と野菜の炒め物や切り干し大根、デザートのイチゴなどが並んだ。「おいしいね」。勉強をしたり遊んだりしていた子どもたちはいったん中断して、食べ始めた。
 同教会で月1回子ども食堂を開いている子育て支援団体「親子いこいの広場もくもく」(数山有里代表)が、学童保育に登録していない小学生や、感染防止で休業した子育て支援センターを利用できなくなった乳幼児の母親らに居場所を提供しようと企画。子どもは無料で、保護者からは寄付を募った。当面、平日午前9時~午後3時に部屋を開放するという。
 この日訪れた小学6年の女の子(12)は母親と2人暮らし。休校初日の4日は一人で留守中に不審者が来ないか心配だったという。「ここはみんながいて安全な場所なのでうれしい」と笑顔。数山代表は「感染のリスクを考えると今回の取り組みに迷いはあったが、最も不安を感じているのは子どもたち」と強調。検温や換気などを徹底した上で「こんなときだからこそ安心やつながりを感じられる場にしたい」と話した。
 長崎市の市立西町小でも5日、飲食業の「F.デザインNAGASAKI」(永石一成社長)が、精肉や野菜の卸売業者から無償や割安で食材を仕入れ、1個150円の弁当を予約販売した。この日は親が不在できょうだいだけで過ごしている児童を中心に11人が買い求め、PTA役員らから受け取るとうれしそうに自宅へ走った。
 子どもに付き添った保護者は「仕事で子どもだけが家にいる日があるので弁当をお願いした。支援があるのは非常に助かる」と安心した様子。永石社長は「地域のためにできることをしたい」と話した。
 また県央地区で障害者の就労継続支援A型事業所などを運営するNPO法人「チャレンジド人財センター」は9日から、諫早市幸町の本部で、小学生と幼児にはたこ焼きやおにぎりなどを、高齢者には弁当を無償で提供する。当面21日まで(木曜、日曜除く)午後1時~5時に渡し、自宅で食べてもらうという。問い合わせは同センター長崎笑屋(しょうや)(電0120.194.408)。

弁当を受け取る児童=長崎市立西町小

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